ここ数年,日本でもIT運用管理の効率化を目的に,ITIL(Information Technology Infrastructure Library)を積極採用する企業が増えている。その多くはITサービスの安定提供を目的とし,インシデント管理をはじめとした,運用の標準化,手順書の整備,サービス・デスクを支援するツールのために導入するのが代表的である。ここでは,仮想化技術がITILの実践に非常に効果的な技術であることについて解説する。

 図1に示すように物理サーバーでは,ハードウエアとソフトウエアの組み合わせが管理単位になっている。新規にサーバーを導入したり増設したりする場合の作業は,ハードウエアとOS,そしてアプリケーションの組み合わせが普通である。

図1
図1●物理サーバーと仮想サーバーの管理単位の違い

 そのため,システムを導入するに当たって,事業部ごと,あるいはシステムごとに専用のハードウエアを用意してしまうと,それらを効率的に使用することは難しい。それぞれのシステムによって,CPUの処理能力やメモリー容量,ハードディスク容量といったITリソースの使用率にはばらつきがあるが,ある「システムA」のITリソースが不足している場合,たとえ別の「システムB」のITリソースが十分空いていたとしても,「システムB」のITリソースを「システムA」で使えない(図2)。その結果,「システムA」に対してITリソースの増設が必要になってしまう。

図2
図2●仮想技術を利用するとシステム間でITリソースを融通でき,利用効率が高まる

 一方仮想サーバーの構成はソフトウエアのみの管理単位になっており,新規にサーバーを導入する場合や増設の際に,すべてをソフトウエアとして扱える。そのため,物理サーバーに比べて迅速に対応しやすい。具体的には,仮想サーバーの管理単位がファイルであるため,サーバーをファイルとして管理できる。仮想サーバーをソフト的にコピーすることでサーバーのクローンを作ることも可能だ。

 さらに,各システムのITリソースを統合して共有リソース・プールを作り,その中から各システムの要求に応じてITリソースを配分すれば,ハードウエアをより効率よく使用できる。あるシステムで不要になったITリソースや,ビジネス変化によって余ったITリソースを共有リソース・プールに戻し,別のシステムで再利用できるからだ。CPUやメモリーなど仮想サーバーの規模を増設する場合も,仮想マシンの設定をソフト的に変更するだけで済む。

 さらに,導入した仮想サーバーの規模が事前の計画ほど必要なかった場合も,ソフト的に設定を変更することで規模を縮小できる。物理ITリソースの効率的な利用が可能になる。ビジネスの要求に応じて迅速に対応可能になる。このように仮想化技術を利用すると,ビジネスの変化に応じて俊敏に適切なITリソース量を利用できる。仮想化技術は,このように統合されたITインフラストラクチャを運用・管理する上で,効果的である。

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