表●売上高100億円以上の主なソリューションプロバイダの業績/経営指標一覧
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 市場が縮退した2002年度、その後の「利益なき繁忙」という試練を乗り越え、ITサービス業界が復活への一歩を踏み出した。その内容を一言で表せば、「成長を追うより、利益を優先させた業績回復」である。

 この傾向は、ランキング対象企業のうち2003~2005年度の業績が比較できる135社の平均からも見て取れる。2004年度に前年度比1.3%減と落ち込んだ経常利益が、2005年度には同16.2%増と大きく改善したのだ。売上高も前年度比1.4%から同1.9%に向上したが、GDP(国内総生産)の名目成長率(0.5%→1.9%)と同等の成長率に過ぎない。

 成長より利益回復に力を注いだ年だったことは、ソリューションプロバイダの経営者も語っている。

 「顧客選別を進めた結果、SI事業の採算性が改善した」「プロジェクト管理(PM)を徹底し、赤字案件の発生を大幅に抑制した」――。決算発表では、多くの経営トップがこう口をそろえた。

 今回、黒字転換も含めた増収増益企業は、前回と業績を比較できる165社中の92社。全体の56%を占め、前回の46%から10ポイント増加した。増収増益に転じた企業の代表例が、2004年度に新規分野への投資を増やして減益になっていたNTTデータ(売上高1位)や、PM強化やデータセンターの効率化などで利益確保に努めた日立情報システムズ(同17位)だ。

 一方、赤字転落も含めた減収減益企業は、前回の21%から14%(165社中23社)に減少した。2年連続で前年度比1%台の減収が続く東芝ソリューション(同7位)や、ネクストコムなどが連結対象から外れ、新規事業の育成を急いでいるCSKホールディングス(同10位)が残った該当企業だ。また、大手ディーラーの菱洋エレクトロ(同27位)、ネットワンシステムズ(同32位)が減収減益に転落した。

 目についたのが27社ある減収増益企業。その代表例が、2005年度に不採算案件の処理を最優先させた、日立ソフトウェアエンジニアリング(同19位)とアイ・ティ・フロンティア(同45位)だ。日立ソフトは経常ベースで92億4600万円の赤字から52億9200万円の黒字に、アイ・ティ・フロンティアは同10億4200万円の赤字から15億9500万円の黒字という復活を果たした。このほかにも富士通ビジネスシステムやNECネクサソリューションズ、電通国際情報サービスなどの、コスト削減活動や案件管理を強化した企業が名前を連ねている。

出典:日経ソリューションビジネス2006年7月15日号 18ページ
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