フリー・エンジニア
高橋隆雄 フリー・エンジニア
高橋隆雄


ようやく日本でも「Asterisk」という単語を目にする機会が増えてきた。海外では既によく知られていたこのAsteriskだが日本での知名度はまだまだ低い。そこで本連載ではAsteriskとは一体何なのかから始め、その成り立ちや仕組みについて解説していこうと思う。

 「Asterisk(TM) The Open Source PBX」このフレーズがそのすべてを表している。そう、AsteriskはオープンソースのPBXなのである。これまでPBXは知っているが、Asteriskというものの存在を知らなかった人にはちょっと衝撃的かもしれないが、オープンソース化されたPBXが存在し、それがAsteriskなのである。

 PBXといえばプロプライエタリなものしか無いのが当たり前だったが、業界初のオープンソースPBX、Asteriskの登場により今後はオープンソースでPBXというのも当たり前の時代となるかもしれないというほど、影響力のあるソフトウエアがこのAsteriskなのである。

 Asteriskはオープンソースとしてはまだ「若い」部類に入る。現ディジウム社の社長、マーク・スペンサー氏によって書かれたAsteriskは2004年9月に正式バージョンとなる1.0.0がリリースされた。その後、コミュニティによって進化を続け2005年11月末には1.2.0がリリースされている。他のオープンソース・ソフトウエア同様に、現在もまだ進化の途上にあり日々改良が行われている。現在の最新リリース・バージョンは1.2.6である。

 Asteriskがどの程度使われているかについては正確な統計はまだ存在しないが、マーク・スペンサー氏によれば各種条件から推定されるのは最低でも全世界で25万ノード程度はあるだろうとのことである。

Asteriskにまつわる誤解

 まず最初にAsteriskについて未だ誤解されている点を解いておきたい。それは「フリーのSIPサーバー」という点である。フリーというのはもちろん間違っていない。ただしフリーというのは誤解を与えやすい単語で、それがゆえに「オープンソース」という語が使われていると言っても良い。Asteriskのフリーというのはソース・コードが公開されていること。オープンソースのライセンスとしてポピュラーなGPL(GNU General Public License)の下に配布されるオープンソース・ソフトウエアだ。

 そして「SIPサーバー」というのは大きな間違いである。確かにAsteriskはSIPサーバー的機能も持っているが、SIPサーバーとして作られたソフトウエアでもなければ、ましてやSIPルーターでもない。AsteriskにとってSIPは機能の一つにしかすぎず、むしろSIPのサポート・レベルはあまり高くない。ただしSIPが広範かつ多方面で使われているため、AsteriskにおけるSIPに関する実装は急速に進化しつつある。

 AsteriskはPBXである、というのが正しい理解だ。SIPもサポートするPBXであり、そのサポートするチャネルは単純なアナログ回線から始まりBRI/PRIやH.323、MGCPなど多岐にわたっている。このためPBXとしてだけでなく異なるプロトコル間をつなぐメディア・ゲートウエイとしての機能も備えている。

 早い話がAsteriskはIP-PBXの一つだ。IPベースなのでもちろんソフトスイッチである。

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