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「家族でそろって出かけたくなるアミューズメントパークのような巨大ショップ」。9月16日、こんなキャッチフレーズをひっさげ「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」が、世界の電気街・秋葉原にオープンした。地上9階、地下6階建て、売り場総面積は2万3800m2。大規模家電店として話題になった同社大阪・梅田店(2万m2)を凌ぐ、国内最大規模の家電店の誕生だ。

 同店のオープンに限らず、今の秋葉原は話題がいっぱいだ。つくばエクスプレスの開業、全貌が見えてきた駅周辺再開発、台頭するゲーム・ホビー系ショップ、大型家電店が繰り出すヨドバシカメラ対抗策。古い「秋葉原」と新しい「アキバ」が渾然となっている今は本当に面白い。しばらくご無沙汰の人も、行ったことがない人も、一度足を運んでみるべきだ。絶対に面白い。

年1200億超を目指すヨドバシ

 秋葉原のホームに降り立つとまず、駅やその周辺の変貌ぶりに驚かされる。構内にはエスカレーターやエレベーターが整備され、広くきれいなコンコースができあがっている。おなじみ電気街口の改札を出て右に折れると、摩天楼があなたを迎えてくれる。今年3月に完成した地上31階建ての高層ビル「ダイビル」だ。駅前広場には飲食店が入った真新しいビルが建ち、ダイビル北側には22階建ての「UDX」ビルが来年3月の完成に向け建設中。まるで、どこかのオフィス街のようだ。もっとも、ガード下の電気店は健在。通り一本隔てた高層ビルと小さな電気店のコントラストは強烈だ。

 電気街口の反対には中央口改札が新設された。この真新しい出口は、つくばエクスプレスの乗り場とヨドバシカメラ入口のすぐそばに位置している。

 ヨドバシカメラの偉容を紹介しておこう。正面入口を入るとそこはパソコン売り場。展示機、約280台がずらりと並ぶ。2階は周辺機器売り場。3~6階はカメラや家電、ゲームなどの売り場。7階には書籍、そしてCD店がテナントとして入る。8階は和洋中とバラエティー豊かな飲食店24店。9階のゴルフ店は打ちっぱなし練習場まで併設する。地下は駐車場で約400台が収容可能だ。

 取扱商品数は65万種。圧倒的な品揃えで、秋葉原から足が遠のいていたファミリー層を呼び戻すという。売り上げ目標は年500億円。だが、同店の足達 信一店長は「年間売上1200億円の梅田店より規模は上。売り上げも当然その上を狙いたい」と鼻息は荒い。

「秋葉原ならでは」の再開発

 ヨドバシカメラが進出した場所は元々旧国鉄の貨物駅跡地。秋葉原が大きな変化を遂げることになったきっかけは行政による再開発事業だ。

 東京都は平成13年、駅前にあった旧国鉄の貨物駅跡地と神田青果市場跡地を活用する再開発事業「秋葉原地区まちづくりガイドライン」を策定、秋葉原をIT産業の発信拠点として整備を進める方針を打ち出した。「秋葉原でなければ発信できないというコンセプト」(東京都 都市整備局 都市づくり政策部 開発プロジェクト推進室 開発調整担当 大野 誠係長)を目指したという。

 電気街の魅力を活かしながら、バランスのよい環境を整えるため、市場跡はIT拠点を形成する業務施設、その北側は居住区、駅周辺は商業施設など利用方針を定めている。周囲のオフィスビルや駅の南側に位置するホテルなどを含め再開発の事業は平成20年までに完了の予定。就業人口は2万5000~3万人増、来外社は9~10万人の増加を見込むという。

 利用者増加に対応するため、千代田区は「東西の人の流れを作るなど歩行者のネットワークを作る」(千代田区まちづくり推進部 山口 正紀 開発調整担当課長)べく、歩道や駅前広場の整備を進めている。電気街口から中央口側に抜ける通路や、ダイビルからUDXまで伸びるエスカレーター付きの歩道橋も整備した。

 IT産業振興の中核となるのが「ダイビル」と「UDX」ビル。産学連携というコンセプトの下、2つのビルは「秋葉原クロスフィールド」という統一名称で呼ばれる。

 ダイビルには企業のほか、筑波大学、東京大学、東京電機大学など研究機関が入居。月1回、開催される交流会には40~50人が集まり、各機関によるプレゼンなどを通して情報交流を図っている。

 具体的な産学連携のプロジェクトとしては、秋葉原の電気街を実験フィールドとして利用する構想も進められている。例えば、ICカードを使って効率的に買い物をできるようにする実験が、早ければ年内にも実現する見通しだ。加えて、企業が作った製品のプロトタイプをダイビルやUDX内で展示する、イベントを開催して科学技術に関する教育の活性化につなげるといった取り組みを推進する。

 着々と整備が進む再開発地域に対し、従来の電気街はどうなっているのだろうか。近年、郊外の家電量販店がパソコンや家電の売り上げを伸ばすなか、秋葉原の家電店は苦戦が続いている。あるパソコンメーカーの営業担当者は「秋葉原全体で売れるパソコンの数は全盛期だった2000年に比べて半分程度に減った。もはや特別な街ではない」と証言する。

ヨドバシが与えるインパクト

 追い打ちをかけるようにヨドバシカメラの進出である。もしヨドバシカメラが減りつつある秋葉原の客をすべて吸い上げてしまえば、既存電気店は苦しい。大阪の電気街、日本橋の衰退にとどめを刺したのは、ヨドバシカメラ梅田店と指摘する電機メーカー関係者は多い。

 ヨドバシカメラの足達店長は「新しいものを安く買いたいという顧客の期待に応える。価格を先行して下げるわけではないが、スピードを重視し、競争相手が下げればそれに合わせる」とあくまでも強気の姿勢だ。

 しかし、意外にも電気街側から悲観論は聞こえてこない。「店舗間の競争はいまに始まったことではない」(秋葉原電気街振興会 小野 一志会長)。これまで電気街の中でも大小さまざまな店舗間で競争を繰り広げてきた。ラオックス ザ・コンピュータ館の開店時も、当時としては常識外の規模で、ここだけで買い物が完結してしまうといわれたが、他店を駆逐したわけではなかった。

 むしろ、カメラ量販店や郊外量販店から買い物客を呼び戻してくれるのでは、という期待さえある。大阪では日本橋の客を根こそぎ奪ったが、同じ秋葉原に位置するのであれば、同じ条件で勝負できるという。九十九電機の鈴木 淳一社長は「秋葉原は日本一の電気街。さまざまな店舗があり、あらゆる製品がそろう。これだけの店があれば見比べたくなるのは当然だ」と購買者の心理を読む。

 進出を歓迎する店もある。電気街の北東に店を構えるPCボンバーはインターネットの価格比較サイト「価格.com」の最安値欄にいくつも名を連ねる、知る人ぞ知る店だ。「価格では負けない自信があるが、電気街から遠く客層が偏っていた。再開発のおかげで駅前から道路で一直線になった。ヨドバシカメラに来た客がうちにも来てくれるのではと期待している」(今井 浩和店長)。同店はヨドバシカメラ開店を好機ととらえ、駅前に支店を出す計画だ。

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