IT Japan 2019からの報告

 日経BP社では、「DXで挑む新時代~日本の競争戦略、次の一手」を統一テーマに、IT Japan 2019を2019年7月10日(水)~12日(金)の3日間、品川プリンスホテルで開催した。企業のトップやCIO、国内外の主要IT企業のトップが、経営とITについて語ったIT Japan 2019の様子をレポートする。

1日目 710日(水)

基調講演
ANAホールディングス
代表取締役社長
片野坂 真哉
「想像」して「創造」する 飛行機を「ヒコーキ」にする挑戦

 ANAグループは、ANAブランドの国内線・国際線フルキャリアサービス、LCCのPeach Aviationとバニラ・エアによる航空運送事業のほか、セールス&マーケティング、貨物・物流、不動産・ビルメンテナンスなど多様な事業を展開している。昨年度の売上高は2兆583億円で営業利益は1650億円だ。

シスコシステムズ
代表執行役員会長
鈴木 和洋
今と新しい未来をつなぐ「懸け橋」として日本の課題と向き合い共に成長したい

 2020年が目前に迫っている。節目の年を一過性のもので終わらせず、いかに持続的成長につなげるか。そのために欠かせないのが「デジタル」の力である。ハコモノだけだといずれ陳腐化するが、デジタルの力を付加することで、常に新しい価値を提供していける。新たな「デジタル社会インフラ」の構築を目指すべきだ。

日鉄ソリューションズ
代表取締役社長
森田 宏之
ただの技術活用で終わらせない 成長基盤を構築する「真のDX」を目指す

 あらゆる産業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の期待が高まっている。DXの実現にはAI/IoTなどの先端技術が不可欠だが、個別に適用しても成果は見込めない。

IT Japan Award 2019 グランプリ受賞企業 特別講演
日本郵船
専務経営委員
技術本部長(CIO)
丸山 英聡
船舶IoTによるDX2.0への挑戦 「歴史のデジタル化」で半歩先をリードする

 「IT Japan Award 2019」グランプリという素晴らしい賞をいただいたことを光栄に思う。受賞対象になったのは、航行中のトラブルを未然に防ぐ船舶IoTの仕組みだが、開発の背景には海運業界に押し寄せる時代の変化の波がある。

日本ヒューレット・パッカード
代表取締役 社長執行役員
吉田 仁志
ハイブリッドITを軸にしたインフラでデジタルネイティブ時代の要求に応える

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質は、組織、プロセス、人材を含む企業全体を変革し、新しいビジネスモデルを創出することだ。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン
代表取締役社長
長崎 忠雄
アマゾンのイノベーションの源泉は徹底した「お客様起点」にあり

 アマゾンのミッションステートメントは、「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」だ。すべてのビジネスは、お客様を起点としたものとしなければならない。こうアマゾンは考えている。

アクセンチュア
テクノロジー コンサルティング本部
インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ統括
マネジング・ディレクター
山根 圭輔
「ポストデジタル時代」の到来 社会とビジネスはどう変わっていくのか

 透明の道路を走るタイヤのないクルマ。幾何学模様のような形状をしたビル群。子供のころ、私たちは少年誌に描かれた未来社会のイラストを見て、ワクワクしたものだ。しかし、そんな未来は来ていない。

KPMGコンサルティング
代表取締役社長 兼 CEO
宮原 正弘
七転び八起きする力を磨き 不透明な時代に立ち向かう

 KPMGがグローバルの経営トップを対象として実施したアンケート調査「グローバルCEO調査2019」の結果を見ると、米国を除く主要国で「世界経済の成長見通しに自信がある」と答えたCEO(最高経営責任者)が2018年よりも大幅に減った。各国において、世界経済の見通しに対する警戒感が強まっているようだ。

スペシャルトーク
レスリングコーチ吉田 沙保里
勝ち続けた最強レスラーが語る 一流の選手、指導者の条件

 家が道場で父が指導者。兄も選手という環境だったので、自然に私もレスリングをやるようになりました。最初から強かったわけではありません。5歳のときに初めて試合に出場したのですが、負けました。ただ、私に勝った男の子が優勝して金メダルをもらっているのを見て、とても悔しい思いをしたのを覚えています。

2日目 711日(木)

基調講演
滋賀大学
データサイエンス学部/データサイエンス研究科 教授
河本 薫
求められる「ビジネス支援型」人材 データサイエンティストのあるべき姿

 私は、2018年4月に現職に就く前は大阪ガスに勤務していた。IT部門の内部組織として「ビジネスアナリシスセンター」を立ち上げ、経営課題の解決に貢献するデータサイエンスの実践、およびそれを担うデータサイエンティストを継続的に育成する体制を整備してきた。

NTTデータ
相談役
岩本 敏男
現実と融合し広がるデジタルワールド 「データ」が未知への旅の道標

 15世紀半ばから17世紀半ばは「大航海時代」と呼ばれる。ポルトガルやスペインなどの国々が、肉の調味料や防腐剤として欧州の人々の必需品だった香辛料を求めて、未知なる海へと漕ぎ出した。

Box Japan
代表取締役社長
古市 克典
コンテンツをデジタル化し集約 これがDX実現への第一歩となる

 1989年の世界の企業株式時価総額ランキングで、トップ10には日本企業が7社いた。ところが、2018年のランキングに日本企業の名前はない。36位にようやくトヨタが登場し、これが日本企業の最高位だ。

特別講演
日本瓦斯(ニチガス)
代表取締役社長
和田 眞治
競合や異業種の企業とも情報を共有 シェアリングエコノミーを加速する

 ビジネスの世界にパラダイムシフトが起こっている。ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)といった国家による中央管理を必要としない社会システムの登場によって、国家単位から個人の価値へ経済の主体が変わる可能性がある。

HENNGE
代表取締役社長 兼 CTO
小椋 一宏
ダイバーシティ推進で人材難を解決 持続的成長戦略は柔軟性も高める

 1996年に創業した当社は、2019年2月に設立以来の社名であるHDEを現在の名称に改めた。一貫してソフトウエア事業を展開してきたが、最初の15年は決して順調とはいえない状況が続き、2度ほど会社存続の危機にも直面した。

日本アイ・ビー・エム
執行役員 パートナー
戦略コンサルティング&デザイン統括
池田 和明
「デジタル・フィジカル」な世界を勝ち抜くためのアプローチ

 2018年9月に経済産業省が発表し話題となっている「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」は、日本企業のDX推進を阻むものとして「ビジョンの欠如」と「レガシーの足枷」の2つを挙げる。

デロイト トーマツ グループ
執行役 CTO (Chief Technology Officer)
安井 望
その取り組みは本質に適っているか今こそD-NNOVATIONの実現を

 世界中の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向かって走り出している。デロイト トーマツ グループでは、DXを「デジタル技術を活用して企業の競争優位を追求すること」と定義している。経営戦略上のマイルストーンを達成するのがDXの目的だと言い換えてもいい。

Sansan
プリンシパルデータソリューションアーキテクト
久永 航
組織全体で最新データを共有し新旧顧客への対応力を高める

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質は、デジタル技術によって新たなビジネスモデルや収益源をつくり出すことにある。加速するDXは、様々な面でビジネスを変えつつある。

特別講演
日本フェンシング協会
会長
太田 雄貴
フェンシングを身近なものにするため強い意志で改革を推進

 フェンシングを生で観戦した人はそう多くないだろう。残念ながら、我が国ではフェンシングはマイナーなスポーツだといわれてきた。

3日目 712日(金)

基調講演
ロイヤルホールディングス
代表取締役会長
菊地 唯夫
デジタル技術による生産性向上で外食産業のイノベーションを加速

 少子高齢化が加速する日本では、人手不足が一段と深刻化している。「ロイヤルホスト」「天丼てんや」などの店舗を展開する当グループでも、生産性の向上は大きな課題だ。外食産業には、「サービスの提供と消費の同時性」という、製造業などの産業とは異なる特性がある。

Dell Technologies (EMCジャパン)
代表取締役社長
大塚 俊彦
先進テクノロジーと実践的アプローチでデジタル変革の実現を加速

 Dell Technologiesは、世界16カ国・4000社の企業を対象としたデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査を2016年から実施している。その進捗状況を「検討前」「検討段階」「評価段階」「実装段階」「運用段階」の5つのフェーズに分類し、自社が現在どのポジションに位置すると思うかを聞いている。

日本オラクル
執行役 副社長
石積 尚幸
国内データセンターを新たに開設しクラウドで日本企業のDXを支援

 多くの日本企業では、本格的なデジタルトランスフォーメーション(DX)はまだこれからという状況だ。少しでも早く実証実験のレベルを脱し、実業務への適用を始めることが求められる。こうしたなか、オラクルは、日本企業のDXを支援するため、2019年5月に次世代データセンターの東京リージョンを新たに開設した。

特別講演

第160回芥川賞受賞作家/IT企業役員
上田 岳弘
新進気鋭の純文学作家が語る「私のような仕事に就く方法」とは

 本日の講演に「私のような仕事に就く方法」というタイトルを付けたが、これはアメリカ人SF作家のカート・ヴォネガットに倣ったものだ。彼が講演のたびに毎回このタイトルを使っていたと聞き、ちょっと真似してみようかと考えた。

日立製作所
人財統括本部
ヒューマンキャピタルマネジメント事業推進センタ長
髙本 真樹
一人ひとりが価値と能力を最大限発揮できるよう人財マネジメントにHRテックを活用

 リーマンショックで日本経済が揺れた2008年、日立製作所では戦後最悪の赤字を計上したのをきっかけに、全社的な企業改革に着手した。

日本マイクロソフト
代表取締役 社長
平野 拓也
最新のテクノロジーを駆使し日本の社会変革へ貢献していく

 マイクロソフトを率いているサティア・ナデラは、2014年のCEO(最高経営責任者)就任直後に「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」という企業ミッションを打ち出した。

日本ユニシス
取締役常務執行役員 CAO/CDO
葛谷 幸司
「DX」と「既存IT」の二刀流を極めるために、今必要な改革とは

 世界中の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の名のもとに、最新のデジタル技術を導入し始めているが、そもそもDXとは何だろうか。私はDXを「ITとビジネスを掛け合わせた新たな価値」だと捉えている。

ワークデイ
社長執行役員
鍛治屋 清二
「イノベーションを起こそう」と考える人財の育成がDXの成功要因

 デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えてきたが、成功させるのは容易ではない。2019年6月に調査会社のIDCとワークデイが共同で実施した調査では、アジア太平洋地域の経営幹部層の60%が「DXの進捗やプロジェクトの成果に課題がある」と回答している。

特別講演
早稲田大学
野球部監督/准教授
小宮山 悟
日米のプロ野球で活躍した名投手が語るチームを優勝させた「データ野球」の真実

 日本のプロ野球で本当の意味の「データ野球」が始まったのは1995年だろう。当時、私が在籍していた千葉ロッテマリーンズで、広岡 達朗GMが招聘したボビー・バレンタイン監督が取り組み始めたのが最初だと思う。