IT Japan 2018レポート

 日経BP社では、「xTECHで挑むデジタルトランスフォーメーション」を統一テーマに、IT Japan 2018を2018年7月11日(水)~13日(金)の3日間、品川プリンスホテルで開催した。企業のトップやCIO、国内外の主要IT企業のトップが、経営とITについて語ったIT Japan 2018の様子をレポートする。

1日目 711日(水)

基調講演
ジョンソン・エンド・ジョンソン
代表取締役社長 兼
同社 メディカル カンパニー 代表取締役プレジデント
日色 保
リーダーを育てるサイクルが「働きがい」につながる

 現在、すべての企業にとって生産性を上げることが大きな課題となっている。そのためにはマインドセットの変革が欠かせない。

日本ユニシス
代表取締役社長 CEO/CHO
平岡 昭良
多くの人や企業と手を取り合い「ワクワクする未来」を創造したい

 「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と題されたポール・ゴーギャンの有名な作品がある。「我々はどこへ行くのか」─。これはまさしく、現代の私たちを取り巻く大きなテーマである。

NTTデータ
相談役
岩本 敏男
社会の根底にあるのはデータ その価値をいかに引き出し、高めるか

 1789年に勃発したフランス革命によって近代民主主義は始まり、社会や人々の生活を大きく変えた。それからおよそ200年後に起こった革命もまた、フランス革命に匹敵するインパクトを世界にもたらした。すなわち、インターネット革命である。世界中の人々がインターネットでつながり、情報の民主化が進み、フランス革命と同じように社会や人々の生活を大きく変えている。

IT Japan Award 2018 グランプリ受賞企業 特別講演

主催:日経コンピュータ

日本航空
執行役員
イノベーション推進本部長
西畑 智博
未経験の巨大プロジェクト メンバーたちが得た自信と実行力

 2017年11月16日、JALは新しい旅客基幹システムの運用をスタートさせた。予約、発券、チェックイン、搭乗、マイレージ管理など、旅客サービスプロセス全体をつかさどるシステムだ。もし停止すると航空機の運航に多大な影響を与えるため、安定稼働が大前提のシステムである。それだけに、全面刷新するのは実に50年ぶりのことだった。

Dell EMC(EMCジャパン)
代表取締役社長
大塚 俊彦
Make It Real ─デジタル時代を勝ち抜くテクノロジー戦略

 近年、多くの企業において、テクノロジーの活用が経営戦略の最優先事項の1つになっている。テクノロジー戦略はビジネス戦略そのものといっていいだろう。

日本オラクル
執行役 副社長
クラウドプラットフォームソリューション統括
石積 尚幸
互いに必要な価値を売買・交換する データは現代の新しい「通貨」

 自動運転のクルマや自動で調理してくれるキッチンなど、昔SF映画や漫画で見た光景が次々と現実のものになりつつある。世界有数の経済誌であるフォーブスによると、自動運転車は2020年までに世界で1000万台を超え、2030年には4台に1台の割合で普及するという。

シスコシステムズ
専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発 兼
東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部 イノベーションセンター東京担当
鈴木 和洋
大企業の弱点を克服し、スタートアップのようなスピードを獲得

 破壊力を持ったスタートアップ企業が瞬く間に市場を席巻していく。こうした事例が急激に増えている。タクシー配車アプリのUber(ウーバー)や民泊マッチングサービスのAirbnb(エアビーアンドビー)などはその好例だ。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン
代表取締役社長
長崎 忠雄
失敗しなければ、成功も生まれない イノベーションを見据えた組織と技術

 アマゾンは創業当初から「地球上で最もお客様を大切にする」というミッションステートメントを掲げてきた。EC事業を皮切りに、現在は業界屈指のクラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」を展開し、その事業は年率49%で急成長を続けている。

特別講演
柔道家
Nextend 代表取締役
野村 忠宏
折れない心で挑み続けた柔道人生 限界を超えた先に新しい自分がいる

 私にとって最初の五輪は、1996年のアトランタ五輪だ。男子柔道60kg以下級の選手として、初出場で金メダルを獲得した。2000年のシドニー五輪、2004年のアテネ五輪でも金メダルを獲得し、柔道史上初、全競技を通してアジア人初となる3連覇を達成した。

2日目 712日(木)

基調講演
カルビー シニアチェアマン(元会長兼CEO)
RIZAPグループ 代表取締役 COO
松本 晃
古い仕組みと悪しき文化を打ち破れ カルビーが挑んだ企業変革とは

 東西冷戦の終結を境に、世界経済や社会の状況は大きく様変わりした。近年では世界的な大企業も往年の輝きを失う一方で、新興のデジタル企業が急速に台頭している。このようにゲームが変わってしまった以上、もはや変革を遂げられない企業が生き残ることはできない。

日立製作所
サービスプラットフォーム事業本部
シニアテクノロジーエバンジェリスト
中村 輝雄
AIをベースに顧客との協創を推進 デジタル変革で新たなチャンスをつかむ

 IoT/AIなどの技術により、企業のビジネスには破壊的なイノベーションがもたらされつつある。今後は日本においても、デジタルトランスフォーメーションへの挑戦が強く求められる。こうしたなか、日立でも様々なお客様企業と共に変革を目指す取り組みを展開している。

日本マイクロソフト
代表取締役 社長
平野 拓也
新たなイノベーションを加速する インテリジェントテクノロジーとは

 マイクロソフトはWindowsの会社という印象をお持ちの方は多いと思う。しかし現在は、「Microsoft Azure」を軸とするクラウド事業がビジネスの中心になっている。Microsoft Azureをグローバルで提供するにあたり、全世界に54カ所のデータセンターリージョンを展開しており、AI関連人材の数も約8000人に上る。

特別講演 「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018」大賞受賞者
ポーラ・オルビスホールディングス
グループ研究・薬事センター担当 執行役員
マルチプルインテリジェンスリサーチセンター所長
末延 則子
史上初のシワ改善医薬部外品を開発 イノベーションによる価値創造を追求

 2016年7月、ポーラでは、史上初となるシワ改善医薬部外品の承認を取得。翌年1月より、薬用化粧品「リンクルショット メディカル セラム」(以下、リンクルショット)として販売を開始した。それまでの抗シワ対策は美容医療や乾燥による小ジワを目立たなくする化粧品などに限られており、医薬部外品としてシワ改善を訴えられるものは存在しなかった。

PwCコンサルティング
代表執行役CEO
足立 晋
不確実性、複雑性が増大する時代 企業が持続的成長を実現するための具体策とは

 PwCは、毎年世界のCEOを対象に世界経済や企業の成長見通しについて意識調査を実施している。2017年8月から11月にかけて実施した「第21回世界CEO意識調査」では世界85カ国のCEO、1293人を対象に行った。

日本アイ・ビー・エム
執行役員 グローバルビジネスサービス事業
戦略コンサルティング&デザイン統括
池田 和明
デジタルテクノロジーの急速な進化のなか企業の“戦い方”はいかにあるべきか

 IBMでは過去14年間にわたって「グローバル経営層スタディ」という調査を実施し、その結果をレポートにまとめてきた。ここではその最新レポートから得られた示唆に基づき、今後の企業の戦い方を検討したい。

デロイト トーマツ コンサルティング
副社長
川原 均
シンギュラリティ時代に求められる技術進化をビジネスに取り込む知見

 「シンギュラリティ(Singularity)」という言葉をたびたび耳にするようになって、既に7~8年になる。この言葉を広めたのがレイ・カーツワイルだ。カーツワイルは、少なくとも2045年までには人間の考えることのすべてがITによって代替されると提唱し、そうした逆転が起こる地点のことを技術的特異点、すなわちシンギュラリティと定義した。

ホートンワークスジャパン
執行役員社長
廣川 裕司
AI、ビッグデータ、IoTを生かし企業のデジタル経営を加速するデータ基盤とは

 世界における日本の競争力をITの視点から捉えたとき、日本製のIT製品・サービスの世界マーケットシェアはハードウエア、ソフトウエア、ネットワーク、クラウドなどの各分野において軒並み下落の傾向にある。

特別講演
帝京大学スポーツ医科学センター
医療技術学部・スポーツ医療学科教授
学友会体育局ラグビー部監督
岩出 雅之
各人の実力を最大限に発揮させる組織マネジメントのあり方とは

 2018年1月、我が帝京大学は大学ラグビー選手権で9連覇を達成した。こうしたこともあり「帝京ラグビー部はどんな組織づくりをしているのか」について問われることが多くなった。私が常々心がけているのは、学生が自らを成長させていく力を自分自身のなかに育んでいけるような自律的組織だ。

3日目 713日(金)

基調講演
RIZAPグループ
代表取締役社長
瀬戸 健
ゴールを明確化すれば、必要な手段が見える 「結果にコミット」するためのIT活用

 24歳で起業し、28歳のときに上場を果たした。ダイエット向けのクッキーなどがヒットして会社は急成長を遂げた。だが、その後市場環境が大きく変化し、業績は一気に下降する。銀行や取引先の対応は急に冷たくなった。

日本ヒューレット・パッカード
代表取締役 社長執行役員
吉田 仁志
もはやクラウドだけが最適解ではない ハイブリッドIT時代のデジタル戦略

 いまや人々はいつでも、どこでも情報を入手し、商品を購買し、即座に感想をWebにアップロードする。すべてがつながり、すべてがコンピュートする「Everything Connects, Everything Computes」の時代にあって、これまでのやり方でIT活用に取り組んでいたのでは、顧客や市場の変化を先取ることはできない。

アクセンチュア
テクノロジー コンサルティング本部 テクノロジーアーキテクチャグループ
マネジング・ディレクター
山根 圭輔
インテリジェント・エンタープライズ 環境変化を背景に勃興する新しい企業の姿

 アクセンチュアは毎年、数年先の技術やビジネスを見据えた調査結果を「テクノロジービジョン」にまとめている。ここでは先ごろ発表した「テクノロジービジョン2018インテリジェント・エンタープライズの勃興」の概要を紹介したい。

特別講演
世界経済フォーラム
日本代表
江田 麻季子
国や思想の違いを超えた議論でグローバルの諸問題を解決へ導く

 世界経済フォーラムは、ドイツの経済学者であるクラウス・シュワブ教授がスイス・ジュネーブに本部を置く非営利団体として1971年に設立した。その役割は、約50年にわたる歴史を通じ徐々に拡大してきた。最も知られているのは、世界中の有識者が年1回一堂に会し、グローバルで起こる諸問題について考える年次総会(通称:ダボス会議)の主催者というものだろう。

新日鉄住金ソリューションズ
執行役員
技術本部 システム研究開発センター所長
齋藤 聡
先進ITを現実の課題解決に役立てる 事例で見る、今必要なアプローチ

 今、日本企業は様々な環境変化に直面している。ビジネスを支えるITが猛烈な速度で進化を続ける一方、“労働人口の減少”は差し迫った事実であり、“ベテランの卒業”によって現場の熟練度は低下する。併せて、“他業種からの破壊者”の参入といった、業界や市場の変化にも対応していく必要がある。

野村総合研究所
研究理事
小粥 泰樹
米国リテール金融のデジタル化が示す「金融秩序再構築」のシナリオとは

 「第4次産業革命」や「Society 5.0」というキーワードは未来を予測するための一助となるが、具体的なビジネスの変化を知るにはやや情報不足だ。より詳しく把握したければ、完全自動運転の電気自動車を開発したテスラ、EC業界の雄アマゾン、AI領域で飛躍するグーグルといった米国の先駆者の取り組みを注視する必要があるだろう。

KPMGコンサルティング
代表取締役社長 兼 CEO
宮原 正弘
日本企業を再び成長軌道に乗せる“攻め”と“守り”の対策のポイント

 KPMGジャパンのコンサルティングファームとして、我々は多くの企業経営者と頻繁に意見を交換している。また、国内外のCEOの意識や課題を把握するため、「KPMGグローバルCEO調査」を毎年実施している。

Box Japan
代表取締役社長
古市 克典
コンテンツのデジタル化を進めて「第4次産業革命」の波に乗れ

 最近、一般のニュースにも「第4次産業革命」というキーワードがよく登場するようになった。この産業革命が、私たちの生活やビジネスにどのような影響を及ぼすかを考えてみたい。

特別講演
東海大学 体育学部 武道学科 准教授
全日本柔道男子総監督

井上 康生
過去の栄光にすがることなく2020年に向け、新たな挑戦を続ける

 私が総監督として臨んだ2016年のリオデジャネイロ五輪で、日本柔道男子は金2つ、銀1つ、銅4つの計7つのメダルを手にすることができた。全階級でメダルを獲得できたのは、実に1964年の東京五輪以来52年ぶり。支援いただいた多くの方にあらためて感謝を申し上げたい。