開発No.034 ピコ秒、数㎜ の誤差で同期・測距 日本発の技術を実用化し、世界の真ん中へ

 自分と相手が、少し離れてスマートフォンを持っているシーンを思い浮かべてほしい。この2台のスマートフォンの時間がピコ秒レベルで同期し、その間の距離が㎜の精度で分かったら何ができるだろうか。「時空計測」プロジェクトは、そんな技術の活用法を生み出し、ビジネス化するプロジェクトだ。

 理解しやすいようにスマートフォンを例に挙げたが、実際にはマッチ箱大の機器(端末)で実現できる。もちろんこの端末は人が持つ必要はなく、地上でも、空の上でも、宇宙空間でも電波が届く場所ならどこでも使える。複数台での運用が可能なので、3台あれば同一平面状の相対位置、4台あれば同一空間上の相対位置が導ける。さらに、絶対位置が分かっている端末があれば、周辺の端末の絶対位置も確定できる。

 この技術の使い道として真っ先に思いつくのは、測量だ。計測したい地点に端末を置き、相互の距離を計測すれば、その場の地形が把握できる。これに絶対位置情報を持った端末が加われば、地図上に、自動的に端末の位置を書き込むことが可能だ。

 時系列で複数点間の相対距離を記録していれば、地形や構造物が動いたことが分かるので、地滑り計や構造物の経年劣化診断にも使える。モノの中に組み込んでおけば、雑然とした場所から特定のモノを見つけ出したり、少しでも動かされたことを検知したりできる。災害現場でも威力を発揮しそうだ。

 ピコ秒誤差の時間同期の活用も面白い。場所が離れていても時間がそろっていることから、ゲームやスポーツ競技などを、本当の意味での同時に開始することができる。極端な話、東京と地球の裏側にあるリオデジャネイロとで同時にスタートする陸上競技が可能だ。もちろん、コースの距離も㎜単位の誤差で測れる。

 同期機能を使って、精密部品の製造工場のように、大型の加工機や建設機械を完全に同期しながら動かすこともできるので、作業の正確さやスピードを各段に向上できる。

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皆で用途を開拓、機器開発

 時空計測プロジェクトにおいて、技術面で協力を仰ぐのが、情報通信研究機構(NICT)だ。NICTでは、これまで「WiWi」という名称で、本技術を開発してきた。相互通信によって2端末間の時計を合わせ、信号の伝搬時間から距離を導き出すというものだ。

 ただし、WiWi技術は、研究室レベルでは完成しているものの、実用化に向けては課題が残る。つまり、これから実用化に向けては用途を明確にし、機器として完成度を上げていく必要がある。

 そこで、本プロジェクトには、厳密な距離計測や時間同期に対してニーズを持つ企業や団体、無線端末開発に技術やノウハウを持つ企業が参加することが期待される。また、この端末を管理したり、端末からの位置や時間の情報を収集分析したりする機能も必要なことから、情報システム関連企業も必要だろう。

 日本発のこの技術を社会に浸透させ、世界のスタンダードにするのが、このプロジェクトのゴールだ。皆で協力し、時空計測の新しい世界を創ろうではないか。

時空計測

用途開拓、端末開発、システム開発パートナーを募集2019年8月30日(金) 東京で開催

リアル開発会議では【開発No.034】「時空計測」に関する説明会を開催します。ピコ秒レベルでの同期、㎜の誤差での距離計測ができる技術を活用したい企業、他社と共に無線端末・情報システムを開発したい企業などを募集します。業種・業態は問いません。

日 時:
2019年8月30日(金) 13:30 ~15:30
会 場:
日経BP 本館 5F セミナールーム
※お申込み多数のため、会場をシステム・インテグレーションから日経BPに変更しました。
参加費:
5,000円(税別)
定 員:
24名(応募多数の場合は、別途日程を追加します)

満席のため、受付を終了しました。

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