開催レポート

グリーンインフラとESGの連携が郊外開発の鍵

 2018年2月22日、「グリーン・インフラストラクチャーとESG投資」をテーマにして、みらい創造ひろばが開催された。今回のみらい創造人は2人。大手町や長野市中心市街地などの開発を手掛けた杉浦榮氏と金融の側面から都市開発を分析する飯塚洋史氏である。

 東京から40kmほど離れた郊外には、高度経済成長期に工場が多く立地した。現在、工場は他のエリアや海外に移転し、空洞化への変化が起きている。そういった工場跡地はブラウンフィールドと呼ばれ、現在郊外にはこうした土地が増加している。ブラウンフィールドは、一般的には開発しても投資回収が見込みにくいため、従来型の開発から取り残されることも多い。が、新たな開発理念に基づけば大規模に土地利用をするチャンスでもあり、新しい産業拠点・ライフスタイル拠点となる可能性も秘めている。こうした郊外の再開発には、グリーン・インフラストラクチャーを取り入れた長期的な視点でエリア全体の価値を上げることが求められる。
杉浦氏は、こうした問題を提起しながら、海外の成功事例を挙げて、日本の都市再生にもグリーン・インフラストラクチャーの理念を理解することが重要であると説く。また飯塚氏は、世界の投資家も長期的な視点を持って投資を行っているので、グリーン・インフラストラクチャーを取り入れて、どのようなエリアにするのかという思想が大事だと言う。短期的に儲けることではなく、開発の思想を重んじる投資家が増えている。

 日本は、第1次と第2次の産業の就業人口が下がり、第3次産業の比率が上がっている。特に、こうした郊外は、デザイナーなどクリエイティブな職業の人たちや知識産業に従事する人たちにとって望ましいライフスタイルを提供できるポテンシャルを秘めている。都会へのアクセスも良く、自然にも近い郊外は、実際にクリエイターの求める職住空間になっているし、知識産業の企業の中には、郊外にオフィスを移転する企業も出て来ている。

 グループディスカッションでは、将来の社会像を想定し、そのために必要な都市の機能やインフラについて話し合った。

■グループディスカッションで出されたアイデア
・農業や観光を中心に開発
・生産はロボットが行い、人が考える空間“3rdオフィス”を増やす
・イノベーティブな人材をつなげるハブ人材の必要性
・二地域居住をかなえる環境
・クリエイターを支えるモノづくり産業の配置
・クリエイティブシニアの醸成

ディスカッションテーマ

・環境(Environment)/社会(Social)/統治(Governance)の視点でエリア価値を上げる手段

⇒ 「みらい創造ひろば」の概要はこちら

みらい創造人

杉浦 榮 氏

S2 Design and Planning 代表
早稲田大学/東京理科大学/関西大学 非常勤講師。法政大学 兼任講師

杉浦 榮 氏

ハーバード大学デザイン大学院(GSD)ランドスケープアーキテクチュア修士課程修了(MLA)、および同大学院アーバンプランニング修士課程修了(MUP)。環境・地域の潜在資源を活かし社会基盤となりうる場の計画・設計を行う。
代表作に、「前沢ガーデン 桜花園」(日本建築学会北陸建築文化賞、グッドデザイン賞2009等)、長野中心市街地再開発「トイーゴ」(国土交通大臣表彰、市街地再開発等関係功労賞等)、ソニー本社機能ビル「ソニーシティ」ランドスケープ(日本造園学会作品選集等)、ニトリ本社屋上庭園KAWARA(グッドデザイン賞2007等)、Egg「コナヴィレッジ町田」等。

飯塚 洋史 氏

quod, LLC 代表 Business Conductor

飯塚 洋史 氏

東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修了。
前職の(株)日本政策投資銀行にて、M&Aアドバイザリー業務、通信・放送、総合電機、不動産業界の投融資業務に従事すると共に、持続可能な不動産を評価するDBJ Green Building認証制度の運用やGRESB Advisory Boardへの参加などを実施。世界の長期投資家とグリーンビルディングを繋げる活動を推進。
現在は、quod, LLCにて、中堅企業・大企業の事業家の新規事業構想を具現化する取組を推進。