米の電力卸市場でレドックスフロー電池を運用、NEDOと住友電工

2018/12/30 11:39
工藤宗介=技術ライター
米電力卸市場にて運用を開始するレドックスフロー電池
(出所:NEDO、住友電工)
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実証運転の概念図
(出所:NEDO、住友電工)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友電気工業は12月18日、「レドックスフロー電池」を米国カリフォルニア州の電力卸売市場に接続し、最も収益が見込まれる運用手法を検証する実証運転を開始すると発表した。

 米国内の電力卸市場でレドックスフロー電池を運用するのは初めてという。また、蓄電池の複合的な運用手法の検証は、世界に先駆けた取り組みになるという。レドックスフロー電池は、長寿命かつ大型化に適している。

 カリフォルニア州では、2045年までに温室効果ガスを排出しないエネルギーで電力の100%を賄うとする州法SB100を成立させるなど、再生可能エネルギー導入に向けて高い目標を掲げている。

 一方で、太陽光発電の増加による朝夕の急激な需要変動や電力品質低下の問題が顕在化しつつあり、変動調整が急務となっている。同州では、州法AB2514で電力会社に蓄電設備の導入義務を課すとともに、蓄電池で適正な収入を得られる電力卸市場の新制度設計を段階的に行っている。

 NEDOは、2015年9月に同州の経済促進知事室(GO-Biz)と基本協定書(MOU)を締結し、住友電工を委託先として、同州サンディエゴでレドックスフロー電池の展開に向けた実証事業を進めてきた。第1段階では、現地の大手電力会社San Diego Gas and Electric(SDG&E)の協力のもと、変電所内に2MW/8MWhのレドックスフロー電池を設置し、配電網で電圧調整・余剰電力対応などを運用しながら蓄電池の基礎特性や信頼性を評価した。

 今回、同州独立系統運用機関(CAISO:California Independent System Operator)の電力卸市場に接続するための申請手続きが終了したことから、第2段階として電力取引市場での運用を開始する。同市場では、再エネの導入拡大により、周波数調整のような短周期の出力(kW)を提供する調整力と、エネルギー供給のタイムシフトのような長時間の電力量(kWh)を提供する供給力が求められている。

 レドックスフロー電池は、運用上、充放電の深度や回数に制約がないという。この特徴を生かし、周波数調整などのアンシラリーサービス市場やエネルギー取引市場などで複数の取引を柔軟に組み合わせ、季節や時間帯に応じて最も収益が見込まれる運用手法を検証する。また、現在制度設計中である蓄電池に適した新メニューにも、いち早く対応する。

 今後は、第3段階として、配電網と送電網の両方における複合運転を行い、第1および第2段階で確立した運用手法を活用して、レドックスフロー電池の経済的価値の向上を目指すとしている。