AIで肝臓がんの画像診断を支援

2016/12/14 19:35
大下 淳一=日経デジタルヘルス
セミナーに登壇した陳氏
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 立命館大学 情報理工学部 教授 先端ICTメディカル・ヘルスケア研究センター長の陳延偉氏の研究グループは、肝腫瘍の画像診断を人工知能(機械学習)で支援するシステムを開発した。造影剤注入からの時間が異なる複数のX線CT画像をもとに、過去の類似症例を即座に検索。診断の参考にできる。今後、臨床研究や機器メーカーとの協業を通じた実用化開発を進める考え。

 立命館大学が2016年12月13日に東京都内で開催した報道機関向けセミナーに陳氏が登壇。開発した「類似多時相CT画像検索システム」を紹介した。

 肝臓がんは、平均5年生存率が30%程度とがん全体の中でも低く、早期発見と正確な診断が求められる。今回のシステムは「単純相」「動脈相」「門脈相」「遅延相」と呼ばれる、造影剤注入からの時間が異なる肝臓の複数のX線CT画像を使う。各相の関係(共起関係)の特徴を抽出したうえで、過去の症例データベースとの類似度を計算する。この結果から、類似症例を出力する。

 検索は大きく2つのステップから成る。まず、X線CT画像から、臓器(肝臓)と腫瘍を分離し、臓器と腫瘍それぞれの3次元モデルを作成する。次に、各相の関係の特徴(多時相共起特徴)を抽出する。現状では臓器と腫瘍の分離に機械学習を用いており、臓器と腫瘍の3次元モデルを3分ほどで作成できる。今後は多時相共起特徴の抽出にも機械学習を導入予定という。

 共同研究先の中国・浙江大学附属病院でパイロットスタディーを実施。インターン生と1~2年目の研修医を対象に、5種類の腫瘍(計14症例)の診断精度と自信度を、検索システムの結果を参考にする場合とそうでない場合で比較した。この結果、インターン生/1年目の研修医/2年目の研修医という違いによらず、診断精度と自信度がともに向上した。

 陳氏らは、医用画像を基に患者ごとに特化した計算解剖モデルを作成する研究も進めている。今後、計算解剖モデルと機械学習を組み合わせた肝臓疾患の診断支援システムを開発していく。

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