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経産省、太陽光・未稼働案件への措置を修正、着工済み「特高」に配慮(page 4)

FIT制度への信頼感が揺らぎ、今後のファイナンスに影響も

2018/12/06 12:15
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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遡及適用でFIT制度への信頼揺らぐ

 また、経産省の措置原案では、一度受領された「着工申し込み」書類の内容を変更した場合、買取価格が変更されることになっており、それが将来の「買取価格の減額リスク」となることが、プロジェクトファイナンスの実行を難しくしていた。

 今回の見直しで、着工申し込みの要件を満たしていなかったことが事後的に判明したり、事業計画の変更認定を申請しない限り、「何らかの理由(工事の遅延など)で系統連系開始が間に合わなくなった場合でも、買取価格は変更されない」とした。このため、「買取価格の減額リスク」は、大幅に小さくなった(図4)。

図4●「系統連系工事着工申し込み」後に生じる事象と適用される調達(買取)価格(修正後)
(出所:経産省)
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 ただ、今回の経産省の措置原案によって、日本のFIT自体への信頼感が大きく低下したことは、否めない。本来、買取価格の遡及的な変更は、未稼働案件であっても、再生可能エネルギー特別措置法の3条10項に該当し、急激なインフレなど例外的な事態が生じた場合に適用される。今回の措置では、3条10項による買取価格の「改定」ではなく、個別の案件に対して、買取価格の適用年度を「変更」するという制度的スキームにした。このため、国会の同意人事で構成される調達価格等算定委員会に諮る必要もなく、経産省(経済産業大臣)によるルール変更で実施された。

 こうした経緯を見ると、事実上の遡及的な買取価格の変更を経産省の独自判断で実施できることになる。実際、今回の未稼働案件を巡る法改正によって、国内の大口機関投資家の一部では、FITスキームでのプロジェクトへの投資を手控える動きも出てきたという。

 今後、日本のFITによる再エネプロジェクトでは、太陽光の特高案件よりも遥かにリスクの大きい洋上ウインドファームの建設が期待されている。今回の一件で、こうした将来の大規模プロジェクトに対する投資やプロジェクトファイナンスの組成にどの程度、影響するのか。一度、失った制度への信頼を取り戻すのは容易ではない。

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