北海道大学と韓国の成均館大学校、産業技術総合研究所(産総研)らで構成する研究チームは、青色発光ダイオードの材料である窒化ガリウム(GaN)の高い電子移動度を活かした半導体二次元電子ガスが、実用化されている既存の熱電変換材料と比べて2倍~6倍の熱電変換出力因子を示すことを発見した(ニュースリリース北海道大学のニュースリリース:PDF)。熱電材料の高性能化に向けて、有力な材料設計指針になり得ると期待を寄せている。

不純物を添加した一般的な半導体(a)と半導体二次元電子ガス(b)の熱電出力の模式図
(図:産総研、北海道大学)
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 熱電変換とは金属や半導体のゼーベック効果(異種金属の接合部を温めると電圧が発生する効果)によって温度差を電気に直接変換するもので、工場や火力発電所、自動車などの廃熱を電気エネルギーに変換するクリーンなエネルギー変換技術として注目されている。熱電変換技術に利用できる半導体(熱電変換材料)の熱電変換性能は、温度差1℃あたりに発生する電圧(熱電能)、内部抵抗の逆数(導電率)、熱の伝わりやすさ(熱伝導率)、平均温度を用いた「熱電変換性能指数(ZT)」として求めることができ、ZTの値は大きいほうが熱電変換材料の性能は高い。例えば、ZTが「1」の熱電変換材料に700℃の温度差(自動車のエンジン付近の熱に相当)を与えた場合、熱電変換効率は約17%となる。

今回の研究で作製した半導体二次元電子ガスの模式図(a)と計測の様子(b)
(図:産総研、北海道大学)
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 発表によると、ZTが1をわずかに超える熱電変換材料はいくつか実用化されているが、プラチナよりも高価で毒性もある「テルル」を含むものなど、大規模な実用化は難しいのが現状だ。米国や中国などでZTが2を超える熱電変換材料も発表されているが、性能の再現性に問題があるなど、こちらも実用化に多くの課題がある。

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