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「2050年までに電力を100%再エネに」、スペインが政策案を発表

2020年から10年間、太陽光や風力の容量を毎年3GW導入など

2018/11/21 11:31
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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 スペインは、2050年までに電力の100%を再生可能エネルギーで発電することなどを含む環境エネルギー政策案を11月13日に発表した。

 2018年6月に発足したペドロ・サンチェス新政権が、電力網や省エネルギー、建築物や運輸・交通、税制など15項目からなる広範囲で包括的な環境エネルギー政策案をメディアとの会合などで明らかにしたもの。

 同政策案は、電力の再エネ比率を2030年までに70%、2050年までに100%とし、温室効果ガスを1990年比で2030年までに20%、2050年までに90%削減、2020~2030年の10年間に太陽光や風力などの再エネによる発電設備の容量を少なくとも3000MW(3GW)毎年導入するなど、再エネの大量導入を推進するものになっている。

 同時に建築物や運輸・交通分野で大幅な省エネや脱炭素に取り組み、石炭や天然ガスなどの化石燃料の採掘や使用を2050年までに段階的に禁止する。

 ガソリン車やディーゼルエンジンの自動車の販売の禁止が2040年までに施行されれば、英国とフランスについで欧州では3カ国目となる。また、国家予算の20%を気候変動の抑制に関する施策に充当するとしている。

 閉鎖される炭鉱などの従業員に対しては、早期引退プランや、クリーンエネルギー産業や環境保全に関連する雇用に就くための職業訓練を提供するという。

 欧州連合(EU)全体での再エネ導入目標は2030年までに32%だが、スペインが今回発表した目標は同35%とEU目標を上回る。

 欧州の太陽光発電業界団体SolarPower Europeのジェームス・ワトソン代表は、「今回スペインが発表した取り組みは、同国が世界全体に対して鳴らした警鐘だ。世界の主要国が再エネで電力を賄うことは可能であり、太陽光発電はその目標を達成するうえで重要な役割を果たすだろう」と述べている。

 スペインではEU指令の下、2000年代の初めに太陽光発電を大量に導入する政策を推進したところ、発電設備の容量が急増して政府の目標を大幅に超過し、配電事業会社が逆ザヤによって巨額の赤字を計上する事態に陥った。

 このため、無制限の出力抑制(関連記事1)(関連記事2)や買取価格引き下げ(関連記事3)などの対策を急きょ実施したため、急拡大してきた市場が急激に縮小し「太陽光バブル」が弾けた。

 一方、サンチェス新政権は今回のエネルギー政策案の発表に先立ち、蓄電池併設型の太陽光発電に対して課せられていた「Sun Tax(太陽税)」と呼ばれる税金も廃止したという経緯がある。

 ただ、議会に占める与党の議席がわずか25%ほどとサンチェス首相の政権基盤は脆弱で、今回発表したエネルギー政策も野党からの支持が得られなければ成立が危ぶまれるといった状況にあり、今後の同国における環境エネルギー政策の行方が引き続き注目される。

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