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輪島市でバイオマス発電、地域の未利用材をガス化

2018/11/14 14:00
工藤宗介=技術ライター
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輪島バイオマス発電所(左)とチップ工場(右)
(出所:輪島バイオマス発電所、トーヨー建設、トーヨーエネルギーソリューションの共同リリース)
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事業化スキーム
(出所:輪島バイオマス発電所、トーヨー建設、トーヨーエネルギーソリューションの共同リリース)
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 石川県輪島市で建設の進んでいた「輪島バイオマス発電所」が完成し、11月12日に竣工式・火入れ式を開催した。定格出力は1.994MWで、地域の未利用材をガス化し、ガスエンジンを稼働して発電する。

 事業主体は輪島バイオマス発電所(石川県輪島市)で、輪島市のほか、宮下建設、新出組、トーヨーエネルギーファームが出資した。EPC(設計・調達・施工)サービスはトーヨー建設が担い、O&M(運営・保守)サービスは、トーヨーエネルギーソリューション(東京都千代田区)が担当する。輪島バイオマス発電所の出資によるバイオマスチップ輪島が、原木からチップを製造して供給する。

 石川県は総面積の69%が森林であり、その多くは50~60年前に植林された。その一方、森林維持に欠かせない間伐などで生じた木材の利用率は70%程度にとどまっていた。輪島バイオマス発電所は、地域の未利用材の有効活用を目的としたもの。

 出力は1.994MWで年間発電量は約1万6000MWを見込み、これは一般家庭の約2500世帯分に相当する。プラントは、欧州で長期稼働実績のあるガス化による発電技術に基づき、新たにトーヨーエネルギーソリューションが独自に開発したという。

 無酸素状態の炉に木質チップを投入し、高温の水蒸気でガス化改質した可燃性ガスを、エンジン発電機に送り発電する。ガス化による内燃エンジン発電では、タールの混入により、エンジンの安定稼働が難しい課題がある。今回のシステムでは、水蒸気で改質することでガス中のタールが大幅に減り、安定稼働が可能という。ガスエンジンには、水蒸気で改質したガス専用に設計・調整した機種を採用した。

 発電所の隣地には、林野庁の補助金を活用して間伐材から木質チップを生産するチップ工場を建設し、すでに生産・販売を行っている。木質チップの乾燥には、バイオマス発電所のガスエンジンの排ガスの排熱を利用する。

 燃料となる年間約2万2000tの原木は、すべてを近隣の未利用材のみで賄う。石川県森林組合連合会と原木の供給協定を締結した。またトーヨーグループは、林業分野での担い手不足の解消に向けて指導者を採用。伐採事業を行う体制を整備し、能登地域で伐採事業も行うという。

 総務省「地域循環補助金」および林野庁「間伐材等加工流通施設整備補助金」を活用した。将来的には水素ガスを精製することも可能になる。さらに石川県で熱供給も行う第2発電所のほか、福島県など全国でも木質バイオマス発電所の計画を推進している。

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