経済産業省は11月12日、新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)を開催し、新たな前提条件に基づく太陽光発電所への出力制御(出力抑制)の見通しを公表した。それによると、地域間連系線を最大限に活用することで、「出力制御率」は半分以下に大幅に減少することが明らかになった。

 「出力制御率」とは、太陽光の発電可能量のうち、電力会社の指示で出力を抑制したことで生じる損失の割合で、旧ルール事業者は「30日ルール」が適用されるため、年間30日、出力抑制された場合、8~10%となり、それが上限となる。そこで、旧ルール事業者の多くは、事業計画の中に10%程度の出力抑制分を折り込んで収支計画を立てている。

 一方、指定ルール事業者は、旧ルール事業者の抑制日数が30日に達した後も、無制限・無補償で抑制され続けるため、制御率がどこまで増えるかが分からず、それがファイナンスを難しくしていた。指定ルール事業者の制御率をシミュレーションする上で、不確定要素の1つになっていたのが地域間連系線の活用量だった。

 今回、経産省は、2018年10月に地域間連系線の運用が間接オークションに移行したことに伴い、電力6社が出力制御率をシミュレーションする際、地域間連系線の活用量に幅を持った数値を採用するように求めた。

 例えば、九州電力の場合、昨年度に13万kWとしていた地域間連系線の想定を、0%(0万kW)、50%(67.5万kW)、100%(135万kW)の3パターンで試算した。その結果、30日等出力制御枠(817万kW)から400万kWを追加で接続した場合、連系線未活用(0万kW)時・56%に対し、連系線フル活用(135万kW)では22%まで低下した。また、700万kW追加接続時には、連系線未活用とフル活用で65%から34%に下がった。

 同様に、北海道電力では、100万kW追加接続時に連系線未活用とフル活用で53.3%が14.2%に下がる。東北電力では450万kW追加接続時に37.5%から11.6%に、北陸電力では60万kW追加接続時に36.8%が1.9%に、中国電力では300万kW追加接続時に30.3%から12.3%に、四国電力では60万kW追加接続時に45.4%が2.3%に大幅に下がる。

 今回の系統WGでは、実際の地域間連系線の運用において、0%、50%、100%のうちどの程度になることが多いのか、との質問が委員からあった。この点に関し、事務局では、すでに出力制御が始まっている九電では100%の水準で運用されていることや、出力制御時には、火力発電の出力が大幅に低下していることを考えると、100%の水準が基本になるとの期待感が示された。

 各社の追加接続量は、足元の導入実績推移から10年後の導入量を予想している。こうして見ると、指定ルール事業者に対する出力制御率は、追加接続で700万kWまで想定して試算している九電を除けば、今後10年間は、旧ルール事業者に対する制御率と同等か、数ポイント多い程度の水準に留まりそうだ。

北海道・東北電力の連系線活用量に幅を持たせた新たな出力制御率の試算
(出所:経産省)
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北陸・中国電力の連系線活用量に幅を持たせた新たな出力制御率の試算
(出所:経産省)
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四国・九州電力の連系線活用量に幅を持たせた新たな出力制御率の試算
(出所:経産省)
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