パリ協定の批准国数を示す国連のサイト(2016年11月11日現在)
(出所:国連・気候変動枠組み条約サイト)
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国連の潘基文事務総長は、パリ協定発効を受け、ビデオメッセージを公表
(出所:国連・気候変動枠組み条約サイト)
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パリ協定の発効を伝える国連のビデオメッセージの一場面
(出所:国連・気候変動枠組み条約サイト)
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 米国大統領選挙で、共和党のトランプ候補が勝利を収めた。トランプ氏は、「地球温暖化問題は、中国人によって、中国人のために作られたもので、米国の製造業の競争力を削ぐ」などと、発言し、パリ協定からの脱退を公言している。

 こうした言説から、同大統領の誕生が、パリ協定による温暖化対策の国際枠組みに実効性を持たせるうえで、マイナス要因になることは間違いない。現在、モロッコで開かれている第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)の会場でも、トランプ氏の勝利は、驚きを持って受け止められているという。

 ただ、トランプ氏が大統領に就任しても、直ちにパリ協定から脱退できない。同協定の規定には、協定発効後3年間は脱退を宣言できず、仮に3年後に脱退を宣言してもその後 1 年間は離脱が認められていない。つまり、トランプ政権は4年間、パリ協定から脱退できず、2期目の再選を果たして初めて、脱退を実現できることになる。

 とはいえ、脱退できないままでも、トランプ氏が、オバマ政権が掲げて国連に提出した温室効果ガス削減目標である「2025年に、2005年比26~28%削減」の達成に対し、本気で取り組まない、事実上の不実施(inaction)という事態は十分に考えられる。パリ協定では、批准国の政府は、目標達成に向け国内対策を実施する義務を負うが、実際に目標を達成できなくても、罰則規定はない。その意味で、削減目標自体に法的拘束力を持たない。

 パリ協定は、自主目標を掲げて、国連がそれを監査する「プレッジ・アンド・レビュー」方式で、目標水準の難易度に国により幅があるうえ、未達成時のペナルティがないことから、その実効性に関して疑問を持つ専門家も多い。5年ごとに目標を積み増す「目標引き上げメカニズム」など、実効性を持たせる工夫があるものの、その効果は不透明だ。