世界銀行とシンガポール太陽光エネルギー研究所(SERIS)は10月30日、水上太陽光発電に関する調査報告書を公表した(図1)。2014年の末に世界中でわずか10MWの設備容量だった水上太陽光発電所が2018年9月の時点では1.1GWと4年未満で100倍以上に拡大していることなどを明らかにした。水上太陽光発電に関する市場調査は、初めてという。

図1●世界銀行とシンガポール太陽光エネルギー研究所(SERIS)が公開した水上太陽光発電の調査報告書「Where Sun Meets Water」の表紙
(出所:SERIS)

 同報告書では、控えめな前提条件でも水上太陽光発電のポテンシャルを世界全体で400GWと見積もっている。この規模は、2017年末の時点におけるすべての太陽光発電所の設備容量の総和に匹敵する。

 例えば、大規模水力発電所で貯水池の表面積のわずか3~4%に水上太陽光発電を設置するだけでも発電所全体の容量を倍増できる可能性があり、日中の太陽光による出力を活用することで水資源のより戦略的な活用が可能になるとしている。

 また、多くの国において水上太陽光は都市や需要の大きい地域の近くでの発電を可能とする。初期投資費用は多少増加するものの、水によりパネルを冷却する効果があり発電効率が向上するため、長い目で見れば水上太陽光の投資対効果は従来の地上設置型の太陽光発電と比較しても遜色ないとする。

 さらに貯水池などでは、水上に並べた太陽光パネルが、水の蒸発抑制や水質改善、ポンプの駆動や灌漑用の電源などのために役立つ。

 現在、水上太陽光発電所の建設が相次いでいるのはアジアであり、数十~数百MW級のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が中国、インド、東南アジアなどで建設または計画されつつあると同報告書では分析している(図2)(図3)(関連記事)。

図2●インドネシアに建設された水上太陽光発電の例
(出所:SERIS/Ciel & Terre International)
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図3●インドに建設された水上太陽光発電の例
(出所:SERIS/NB Institute for Rural Technology)
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 世銀でエネルギーおよびエクストラクティブズ担当上席ディレクターを務めるRiccardo Puliti氏は、「水上太陽光発電技術は、土地資源が貴重な地域や電力網インフラが弱い地域で絶大な威力を発揮する。各国の政府や投資家が水上太陽光発電のメリットに気づき始めており、アジアに加え、アフリカや南米などのさまざまな国々で関心が高まりつつあるようだ」と述べている。