システムの概要
(出所:東京大学)
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20枚を直列で接続したストリングによる検証
(出所:東京大学)
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 東京大学は11月6日、太陽光パネル単位で不具合などを把握できる遠隔監視技術を開発したと発表した。

 同大学 大学院 情報理工学系研究科の落合秀也講師によるもので、この遠隔監視と通信を組み合わせた技術を「PPLC-PV:A Pulse Power Line Communication for Series-Connected PV Monitoring)」と称している。

 発表によると、検出機能と通信機能を集約した端末を、ジャンクションボックスのように太陽光パネル1枚1枚に取り付け、パネルから出力する送電ケーブルを介してデータを送る。パネルの電圧や温度といったデータを送る。

 これによって、目視ではわからないパネルごとの発電の不具合を遠隔監視できる。太陽光パネル単位で保守機能を持たせた上、すべてのパネルをIT(情報技術)の環境下におくことができると強調している。

 太陽光パネルを直列に接続した単位であるストリングに、パルス状の電流を送る。このパルス状の電流を活用して、個別の太陽光パネルの電圧や温度の状況を把握する。

 このデータは、接続箱やパワーコンディショナー(PCS)の周辺に設置した機器で読み取り、携帯電話の通信網を通じて、クラウドコンピューティング上に送り、自動で遠隔監視できるとしている。

 太陽光発電所において、パネルの不具合を発見するには、一般的なPCS単位の発電量の把握では、PCSの容量が大きくなるほど、接続されている枚数が膨大になるために難しい。

 そこで、接続箱に電流センサーを設置し、その計測データによって、不具合の生じたパネルを含んでいるストリングを発見しようとする、ストリング監視が広まってきている。ストリングごとの十数枚の単位であれば、相対的な発電量の差から、不具合を生じた太陽光パネルを含むストリングを発見しやすい。

 この方法も、ストリング単位の発電量を相対的に比べる方法のため、極端に差がつくことが少なく気づきにくい。最終的に赤外線カメラなどを使って不具合を生じたパネルを特定する手法には、ノウハウが要る。

 また、電力線通信(PLC)を活用する方法も知られているが、太陽光パネルへの適用は難しいとしている。

 今回のように、パルス状の電流をストリングに送ることで、太陽光パネル単位で不具合を検出する手法は、システム・ジェイディー(福岡県福岡市)がIC(集積回路)の検査向けで培った技術を生かして事業化し、国内のメガソーラーやO&M(運用・保守)事業者に採用されている(関連コラム)。

 システム・ジェイディーの手法では、接続箱内からストリングにパルス状の電流を送るのに対して、今回の東京大学の手法は、太陽光パネルごとに取り付けた端末を使う。

 太陽光パネルに取り付ける端末は、汎用の電子部品で構成できる上、パネルメーカーが採用すれば製造時に簡単に取り付けられるとしている。

 パネルに対して制御信号を送ることもでき、火災などの非常時には、該当するパネルを電気的に切り離すことも可能としている。

 詳細は、同日、スマートグリッド通信に関する国際会議「IEEE SmartGridComm 2016」において発表する。