富士通研究所は、2016年の研究開発戦略説明会を10月20日に報道機関とアナリスト向けに開催した。目を引いたのは、富士通の事業の根幹を支えるコンピューティング技術への取り組みだった。

 登壇した富士通研の代表取締役社長である佐々木繁氏によれば、CMOSプロセスの微細化の限界、いわゆるMooreの法則の終焉によって、コンピューティング技術には大きな変革が必要だという(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。微細化が続いているうちは汎用的なコンピューターの高性能化を進めていればよかったが、終焉後には、対象(ドメイン)ごとに最適なコンピューターを開発し、それらを組み合わせることでトータルの性能を高めていくという。同氏は、これを「ドメイン指向コンピューティング」と呼ぶ。

「ドメイン指向コンピューティング」を説明する佐々木繁氏 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンは富士通研究所のスライド。
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 その第1弾として、組み合わせ最適化問題の専用コンピューターのアーキテクチャーを今回の説明会に合わせて報道発表した(ニュースリリース、詳細は後述)。同氏によれば、複数のドメイン指向コンピューターを組み合わせていくことで、将来は知能や知識を扱える脳型コンピューター、いわゆる人工知能が実現できるとした。

 佐々木氏は人工知能について、次のようにも語っている。「現在の深層学習は、画像や音声の認識など、適用範囲が限定されている」(同氏)。富士通研では、深層学習の適用範囲を広げる技術を開発し、今回の説明に合わせてもう1件報道発表を行った。データ処理で広く使われているデータ表現形式の「グラフ」をニューラルネットに取り込む技術である(詳細は、日経テクノロジーオンライン関連記事2)。

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