富士通研究所は、ディープニューラルネットワーク(DNN)の入力にグラフで表現できる情報を使った場合に、出力の精度を大幅に高められる技術「Deep Tensor」を開発した(発表資料)。例えば、分子構造をグラフで表した化合物同士の既知の結合関係を、今回の技術を使ってDNNに学習させると、未知の化合物の組み合わせが結合するかどうかを精度良く予測できる。あるいは、個人間の金融取引の履歴を表すグラフ情報を学習させると、新たな取引のリスクを精度良く予測可能なDNNを作成できる。実際に、各種データを使って、学習後のDNNの予測精度が従来手法と比べて大きく高まることを確認した。2017年度上期中をメドに、富士通の人工知能(AI)技術「Zinrai」の一部として製品化する計画である。

 一般に、DNNへの入力はベクトルで表されるのに対して、グラフで表現された情報をベクトルに変換する方法は多数ある(図1)。その方法次第で、学習後のDNNの精度は大きく変わっていた。富士通研によれば、従来よく使われてきたのは、グラフを構成する特徴的な構造を複数決めて、それぞれがあるかないかで1、0を割り振る方法だった(図2)。ただしこの方法では、人が気づかない複雑な構造が見過ごされて、結果としてDNNの予測精度が上がらない可能性があった。

[画像のクリックで拡大表示]
図1 グラフの情報をDNNに入力する方法はさまざま
同一のグラフ情報でも、DNNに入力できるベクトルに変換する方法は様々あり、それに応じてDNNの学習や推論の結果は変わってしまう。(画像:富士通)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 従来は専門家の知見でベクトル化
これまでは、グラフに含まれる特徴的な部分構造の有無でベクトル化することが多かった。(画像:富士通)

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!