地域と一体になる事業モデル
(撮影:日経BP)
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立地する場所の空撮画像
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事業全体で20年間に30億円以上が地域に
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二つの区画で構成
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 JR東日本エネルギー開発(東京都港区)事業開発部の渡邊 幸人マネージャーは10月19日、「ふくしま復興・再生可能エネルギー産業フェア2016」(10月19日~20日:福島県郡山市で開催)において講演し、福島県双葉郡富岡町に開発中の出力約30MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の詳細を明らかにした。

 同社は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の子会社で、再生可能エネルギー発電所の開発を目的に、2015年4月に設立された。

 富岡町の出力30MWのメガソーラーは、東京電力・新福島変電所に近い富岡町大字上手岡字大石原、下千里に位置し、敷地面積は約40ha。元は農地だった場所を活用した。2016年6月に着工しており、2017年12月に売電を開始する予定。

 太陽光パネル出力の30MWに対し、パワーコンディショナー(PCS)出力は19.8MWとなっている。稼働後の年間発電量は、一般家庭約9100世帯の消費電力に相当する、約3万3000MWhを見込んでいる。

 発電事業主となるSPC(特定目的会社)は富岡復興エナジー(福島県双葉郡広野町)で、JR東日本エネルギー開発と福島発電(福島市)、富岡町が出資した。

 富岡復興エナジーの本社は、富岡町が避難指示区域から解除された後、売電開始までに広野町から富岡町に移転する予定。富岡町は、配当や寄付などで売電による利益を得る。

 福島県再生可能エネルギー復興推進協議会と協定を締結して開発しており、売電収入の一部は、同協議会への負担金として納め、地域の復興に使われる。その額は、年間約2000万円となる。

 O&M(運用・保守)の一部も、福島電力が担い、特に草刈りでは地元からの直接雇用を想定している。

 また、開発費の約90億円のうち、約8割は地元の金融機関からプロジェクトファイナンスによる融資で賄う。東邦銀行が幹事行となり、同行のほか、あぶくま信用金庫、相双五城信用組合という福島県内の金融機関のみで融資する。

 これらを総合した地域に還元される収益は、20年間で30億円以上になると推測している。

 EPC(設計・調達・施工)サービスは鹿島建設、O&Mは鹿島建物総合管理(東京都新宿区)が担当する。福島電力が担う草刈りなどは、鹿島建物総合管理が委託することになる。

 メガソーラーの敷地は、二つに分割しているものの、発電所自体は一つとなっている。北側が出力約8MW、南側が出力約22MWとなる。連系点は北側の最北部にあり、南側の区画からは地中に送電ケーブルを埋設する。

 太陽光パネルは、出力270W/枚を11万880枚並べる。パネルは京セラ製を採用する(東邦銀行による発表の関連記事)。PCSの隣に中間的な昇圧変圧器を置き、PCSの交流出力360Vを22kVに昇圧し、ロスを少なく送電する。連系前に66kVに昇圧する。架台は、地元に生産拠点を持つ企業から採用するという。2520組の架台を設置する。

 JR東日本は、さまざまな環境保全技術を導入する「エコステ」化の一環として、東京駅、四ツ谷駅、平泉駅、海浜幕張駅、浦和駅、福島駅などに、小規模の太陽光発電システムを導入し、発電した電力を、それぞれの駅の設備で自家消費してきた。

 また、千葉市美浜区にある車両基地「京葉車両センター」では、出力約1.0MWのメガソーラーを運用し、同センター内の消費電力のほか、電車の運行などに使っている(関連コラム)。

 このほか、所有する線路周辺の土地を活用し、常磐線の友部駅と内原駅の間で2カ所、合計出力約3.3MW、男鹿線の追分駅と出戸浜駅の間で出力約1.8MW、奥羽本線の追分駅と大久保駅の間で出力約1.3MWのメガソーラーを運用し、固定価格買取制度(FIT)に基づいて売電している。

 JR東日本の本体が、同社所有地内に再エネ発電所を建設してきたのに対し、JR東日本エネルギー開発は、新たに土地を確保し、地方自治体や地域の企業と共同開発し、地域に雇用や経済効果を生み出すことを目指している。「地域貢献型」の再エネ事業と位置づけている。

 富岡町のメガソーラーで確立した地域貢献型の再エネ発電事業のモデルを、各地に水平展開していきたいとしている。