1. はじめに

 プラスチック製品の成形技術の1つである熱プレス法を用いて、曲面状の有機トランジスタを作製した成果を、千葉大学 大学院 工学研究科 教授の工藤一浩氏の研究室(関連記事)と日本化薬が、第77回応用物理学会学術講演会(9月9日~16日、新潟市の朱鷺メッセ)で発表した。発表タイトルは「熱プレス法による曲面状OFETアレイの作製」。なお、日本化薬は有機半導体の材料研究と供給を担当している。

2. 曲面エレクトロニクス

 近代社会で生活する私たちの身の回りは、ペットボトルやブリスターパックをはじめとする様々な形状のプラスチック製品であふれている。プラスチックの成形技術には射出成形やプレス成形などの優れた方式があり、自由自在に曲面を作ることができる。千葉大の工藤研究室では、このような曲面成形技術を利用した新たなエレクトロニクスを考えている。具体的には、医療・ヘルスケア分野の応用として、以下の3つなどが考えられる。

(1)コンタクトレンズ型センサー
  涙のグルコース値を常時測定する低侵襲なセンサー
(2)生体計測用ウエアラブルデバイス
  手首に装着して脈拍を測定する
(3)インプランタブルエレクトロニクス
  臓器にフィットするセンサーアレーにより常時モニタリングする

 また、触覚を備えたロボットハンドの指先への応用として、以下の3つなどが考えられる。

(1)触覚を模した圧力センサーアレーを指先形状のプラスチック曲面に形成
(2)物体の硬さを繊細に検出、フィードバック
(3)将来的には、触診などの高度な作業をこなす医療用ロボットハンドの指先を実現

 これらの要求を満たすには、複雑な曲面に整合できる曲面デバイスが必要である。曲面ディスプレーを実現するのに、ストレッチャブルデバイスやフレキシブルデバイスを曲面に貼り付ける方法がある。しかし、球面や自由曲面には平面デバイスは貼り付けられない(図1)。そこで、曲面デバイスを直接作製する熱プレス法を提案した。

図1 既存の平面デバイスを曲面に貼り付けると様々な不具合が発生
千葉大と日本化薬の講演資料から
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