1. はじめに

 フレキシブルおよびプリンテッドエレクトロニクスに関する国際会議「International Conference on Flexible and Printed Electronics 2016(ICFPE2016)」(2016年9月6~8日、山形大学)報告の第5回と第6回では、180件近くのポスターの中から2件を取り上げ、2回に分けて報告する。今回は、東海大学マイクロ・ナノ研究開発センターの「マイクログラビア印刷方式を用いた高分子超薄膜の創製」を取り上げる。総合大学の特徴を生かし、医理工連系で膜の物性からロール・ツー・ロール(R2R)による大量生産技術の開発および次世代医用技術の確立を目指す、という。

2. マイクログラビア印刷方式を用いた高分子超薄膜の創製

 東海大学は今回、“Fabrication of poly (L-lactic acid) nanosheets using micro gravure printing”と題して発表した。以下、その講演内容を紹介する。

2.1 研究背景と目的

 最近、創傷被覆材として高柔軟性や高接着性を持つ膜厚100nm以下のナノシートに注目が集まっている。ナノシートは、接着剤を使用せず物理吸着のみで複雑な表面の皮膚や臓器に貼り付けることができる(図1)。そのため、止血治療および二次感染を防ぐ保護治療のような医療分野での活用が期待されている。実用化に至れば、患者の負担を軽減した治療が可能になる。

図1 ナノシートの特徴と用途
東海大学の資料。
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 ナノシートは一般にスピンコート法によって作製されるが、シリコン(Si)基板の面積に制限があるため、大面積での作製や大量生産に対応できないと考えられている。この課題に対しては、R2R生産方式とマイクログラビア方式を組み合わせた生産手法が有効だと考えられる(図2)。R2R生産方式では、基板となるフィルムを多数のローラ-により支持・搬送し、その過程において塗布、乾燥、ラミネートなどの工程を一連して行うことにより、フィルム製品の大量生産が可能である。この方式にマイクログラビア方式を用いた塗工工程を組み込むことにより、ナノシートの大量生産が可能と考えられる。  

図2 ナノシート作製法の比較
東海大学の資料。
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 しかし、この2つの方式を組み合わせてナノシートを作製した事例はほとんどない。また、ナノシートを大量生産するために必要な膜厚制御技術は確立されていない。

 そこで、R2R生産方式にマイクログラビア方式を組み合わせた手法によって作製するナノシートの膜厚制御および大量生産を目的とし、フィルムの搬送速度およびマイクログラビアロール(以降、単にグラビアロールと称する)の回転速度、溶液の濃度がナノシートの膜厚に及ぼす影響を実験的に検討した。また、作製したナノシートの物性値を測定し、スピンコート法により作製したナノシートと比較検討した。

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