米ハワイ州 産業経済開発観光局 エネルギー局のマーク・グリック局長
(出所:日経BP)
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 米ハワイ州 産業経済開発観光局 エネルギー局のマーク・グリック(Mark Glick)局長は9月9日、自然エネルギー財団の設立5周年記念シンポジウムで講演し、ハワイ州における再生可能エネルギーの取り組みを紹介した。

 ハワイ州は、離島のみで構成され、再生可能エネルギーの導入に制約も多い。そうした環境でありながら、州内の発電事業者が供給する電力の再エネ比率を段階的に引き上げ、2045年には100%とすることを義務付けた。米国で初の「州内の再エネ比率100%」を打ち出した地域となるなど、世界的な再エネ先進地域として知られている。

 ハワイ州で再エネを大量導入するきっかけは、2008年に起きた石油価格の高騰だった。

 ハワイの電力供給は元々、州外から調達する化石燃料、それも石油に頼ってきた。そのため、電気料金は、米国本土に比べて、数倍も高かった。2008年の石油高騰によって、さらに電気料金が上がり、州内の経済が停滞した。危機感を抱いたグリック局長は、「石油中毒」から脱することを模索し始めた。それが、再生可能エネルギーの最大活用だった。

 ハワイ州は、もともと太陽光や風力に恵まれている。その活用は、長らく議論されてきたものの、本気で取り組むことはなかった。そんななか、2008年の石油高騰は、州民の電気代の支払いを軽減できる手法として、再エネ導入を喫緊の課題に押し上げた。

 大きかったのは、超党派の協力を得られたことだったという。米国の二大政党が、ハワイへの再エネ導入に関して、手を組むことを決めた。このような合意は、通常は難しいという。

 両党の合意を受けて、エネルギー関連企業や一般企業なども巻き込む形で、「ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアチブ」を策定した。2030年までに、再エネ発電の比率を40%に拡大するとともに、省エネによる電力使用量の削減効果を加えて、結果として電力の70%を再エネで供給するという目標だった。2009年には、州議会がこの目標を法制化した。

 それとともに、ハワイ州は、米エネルギー省(DOE)と覚書を交わした。同省は、国内有数の高い電気料金の地域である一方、再エネ資源が豊富なハワイを、再エネ関連プロジェクトの実証地とし、ハワイ州の再エネ導入に対する技術支援と補助金を提供することを決めた。

 州でも、再エネ発電への投資や、発電事業者への優遇税制を導入した。米国政府からのインセンティブに加え、州による優遇策を上乗せしたことで、「変化のための火がついた」という。

 再エネへの優遇税制について、批判も少なくなかったという。公共的な利益への疑問や、再エネ発電コストは下がらないのではといった理由だった。