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半導体ナノ粒子の光吸収率増加の原理解明、太陽電池に応用も

2018/09/13 16:22
工藤宗介=技術ライター
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半導体ナノ粒子が光を吸収する仕組み。同時に光吸収することで効率が高まる
(出所:京都大学)
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 京都大学らの研究グループは8月22日、直径数nmの半導体ナノ粒子(量子ドット)が、光を吸収する過程で複数の量子力学的な状態を同時に作ることで、光の吸収効率が高くなることを発見した。

 半導体ナノ粒子は、ディスプレイの発光材料に利用されており、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池や光検出器の光吸収材料としても注目されている。

 半導体ナノ結晶は、サイズに応じて発光波長が変わる性質を持つ。これは量子力学的な効果によるもので、ナノ粒子が光を吸収する過程でも重要な役割を担っている。これまでの研究で、光吸収によってナノ粒子内に生み出される電子と正孔の数は、吸収する光子(光の最小単位)の数によって決まることが分かってきた。しかし、ナノ粒子が光を吸収する過程において、吸収効率を支配するメカニズムは明らかになっていなかった。

 研究グループは今回、2本のレーザーパルス光を利用してナノ粒子の光吸収過程を正確に測定した。1本目のパルス光で吸収させる光子の数と、ナノ粒子内に生成される電子と正孔の数を制御し、2本目のパルス光で生成された電子と光子の数に応じた吸収効率を測定した。

 その結果、エキシトン(電子と正孔からなる状態)を1個ずつ段階的に作り出した場合と比べて、複数のエキシトンを同時に作り出した場合は生成効率が高くなることが分かった。さらに、この光吸収による生成効率の向上には、量子力学的な性質である「コヒーレンス」が重要であり、生成したエキシトンの数によって吸収効率が決まることを発見した。

 この研究成果は、同時に多数のエキシトンを高効率に生成できることを利用した新しい光電変換現象の発見につながると考えられるという。今回の光吸収メカニズムの基礎的な理解が、太陽電池や光検出器の高効率化につながると期待される。

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