直圧式ブラスト装置内でガラス成分を効率的に分離する
(出所:日経BP)
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ガラス層下のEVAにはまったく傷付けずに完全に分離できる
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 太陽光発電事業の開発・運営を手掛けるエーシー(山形県米沢市)と、真空製膜装置部品の洗浄再生を手掛けるミクロンメタル(米沢市)は、太陽光パネルのマテリアルリサイクル(材料の再利用)を請け負うサービスを2017年3月から共同で展開する。

 使用済みの太陽光パネルを有料で引き取り、アルミニウム製フレームと電極・端子ボックスを外した後、カバーガラスとEVA(封止材)を分離する。分解した各部材は、それぞれの素材の専門リサイクル事業者に有価物として販売する。

 現在、東北地方ではパネル1枚の処理料金は5000~6000円とも言われるが、「低コストのガラス分離技術を独自に開発したことで、半額近くの大幅に安い処理料金で、リサイクル処理を請け負えるめどがたった」(エーシーの大友裕一社長)という。

 カバーガラスを分離する技術は、ミクロンメタルが開発した。研磨剤を噴射するブラスト装置の中に使用済みパネルを格納し、カバーガラス表面に研磨剤を高圧で吹き付けることで、1枚当たり8分ほどで、EVAとガラスを完全に分離できる。災害などでパネルが曲がっていても問題なく、EVAにまったく傷を付けずにガラスを剥離できる。

 多様な研磨剤が活用できるのが特徴で、選択した研磨剤によっては、分離したガラスと研磨剤を分離せずに、一緒にセメント材料に利用できる。EVAはセル(発電素子)を挟んでおり、電極に銀を多く含んでいるため、精錬技術を持つリサイク事業者などに有価で販売できるという。

 環境省は今年4月、太陽光発電設備の処理方法に関する「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を出した。太陽光発電の所有者、排出事業者、撤去事業者などの関係者ごとに、関係する法制度、留意点などをまとめ、リユース、リサイクルを促した。同ガイドラインでは、「ガラスとEVAを分離できれば、有用金属のリサイクルが可能になる」との分析を示していた。

 一方、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は昨年9月、太陽光発電設備のリサイクル技術などの実証プロジェクトを民間企業に委託した。同プロジェクトでは、加熱したカッターで、ガラスとEVAを分離する方式を採用した。こうした方式だと、装置が大掛かりになり、初期投資が上がってしまう課題があった。

 今回、ミクロンメタルの開発した手法だと、「月2000枚程度の処理量の場合で、初期投資は約1000万円で済み、数千万円もの装置への投資が必要な従来の手法に比べ、大幅に低コストを実現した」(大友社長)という。