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室温で10倍以上の「磁気熱電効果」、温度差発電に応用も

2018/08/30 18:27
工藤宗介=技術ライター
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従来の熱電変換技術(ゼーベック効果)と磁性体を用いた新技術(異常ネルンスト効果)の違い。
(a)ゼーベック効果は温度差の方向と同方向に発電するが、(b)ネルンスト効果は温度差の方向と垂直方向に発電する。そのため、(c)ゼーベック効果を使ったデバイスは立体的で複雑になるのに対し、(d)ネルンスト効果を用いたデバイスは薄膜化、大面積化が容易であり、熱源に沿った発電が容易という(出所:東京大学)
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 東京大学らの研究グループは、理化学研究所、米国メリーランド大学の研究グループと協力して、室温で巨大な磁気熱電効果(異常ネルンスト効果)を示す磁性金属Co2MnGaを開発した。10ccの体積で約100W以上の発電が可能で、環境発電や熱流センサーなどの熱電応用が期待される。7月31日に発表した。

 磁性体の異常ネルンスト効果は、温度差の方向に対して垂直に発電するため、立体構造が不要でテープ化など熱源に沿った大面積の発電が容易といった特徴がある。しかし、これまで知られている異常ネルンスト効果は、取り出せる電圧が非常に小さく熱電応用は難しいと考えられていた。

 研究チームは今回、強磁性金属間化合物Co2MnGaが、室温でこれまでの最高値の10倍以上大きな異常ネルンスト効果を示し、室温以上の高温では更に上昇することを見出した。広い温度範囲をカバーするため、さまざまな温度の熱源で発電可能。さらに製造コストが安く、無毒な材料からできており、耐久性や耐熱性にも優れるという。

 また、巨大な異常ネルンスト効果は、ワイル点と呼ばれる電子構造のトポロジーと量子相転移という量子効果に由来していることが分かった。実験や第一原理計算では、異常ネルンスト効果の主成分の温度依存性は温度を下げると対数的に増大することを示した。ワイル点を仮定したモデル計算によって、この増大がワイル点の性質が変化することに対応した量子臨界現象であることを明らかにした。

 今回の研究成果は、さらなる高出力材料の指針になると期待される。実用化・商用化した場合は、ボイラーやエンジンの排熱を使った温度差発電や、給湯器や体温などの微量な排熱を無線やセンサーの電源として利用することなどが想定される。

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