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CIGSベースの光触媒、水素生成効率12.5%達成、可視光を活用

2018/08/28 14:08
工藤宗介=技術ライター
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今回開発したCIGSベースの水素生成光触媒
(出所:NEDO)
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水素生成光触媒と酸素生成光触媒のタンデム配置による2段階セルの模式図
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は8月27日、Cu(In,Ga)Se2(CIGS)をベースとした光触媒で世界最高となる水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。

 東京大学と共同した成果で、CIGSは、化合物型太陽電池の材料として知られる。「水素生成エネルギー変換効率」とは、光触媒の水素生成能力を表す性能指数。

 太陽光の強度のピークは主に可視光領域(400~800nm)のため、この波長域の光を吸収する光触媒があれば効率良く太陽光エネルギーを利用できる。しかし、従来の光触媒は、吸収波長が主に紫外光領域(~400nm)に限られるものが多く、吸収波長の長波長化が課題となっていた。

 NEDOの人工光合成プロジェクトでは、従来より長波長の光を吸収する光触媒材料として、カルコゲナイド系材料を開発してきた。その中でもCu(In1-x,Gax)Se2は、赤外領域までの太陽光(xの組成比により750~1230nmまで変化)を利用可能で、すでに太陽電池材料としてメートルスケールの製造技術が確立されている。また、このCIGSはp型半導体であり、表面にn型半導体を成膜してpn接合を構成することで高い量子効果を得られることが知られている。

 今回、これらの知見を参考に新規組成のCIGSを構成し、高負荷条件でCIGSとn型半導体の間の障壁が原因で効率低下する問題を解消した。また、大電流密度で水分解反応が進行すると液相側の電気抵抗などの効率低下要因が顕在化することから、電解液の成分などを最適化して効率的に水素を得られるようにした。

 NEDOは、太陽光を用いて水から生成した水素と工場などから排出されるCO2を合成して、プラスチック原料などの基幹化学品(C2~C4オレフィン)製造プロセスを実現するための基盤技術開発に取り組んでいる。非単結晶光触媒は、単結晶光触媒と比べてメートル級の大型化に適した材料系であり実用化が期待される。

 また、太陽光で水から水素を生成する化学反応時には同時に酸素も生成されるため、水素を最も効率良く取得するには酸素生成触媒の性能向上も必要になる。今回開発したCIGSベースの水素生成光触媒と、従来のBIVO4からなる酸素生成光触媒をタンデム配置した2段階セルを用いて水の全分解反応を検討したところ、太陽光エネルギー変換効率3.7%を達成した。

 「太陽光エネルギー変換効率」とは、入射した太陽エネルギーに対する、光触媒の水素生成によって蓄えられた化学エネルギーの割合。性能指数である「水素生成エネルギー変換効率」とは定義が異なる。

 今後、高性能な酸素生成光触媒を開発し、2021年度末を目標に太陽光エネルギー変換効率10%を目指す。

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