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地熱発電の利用率向上、IoT・AI活用で、東芝グループ

2018/08/21 20:28
工藤宗介=技術ライター
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東芝グループが主要設備を納入したインドネシアの地熱発電所
(出所:東芝エネルギーシステムズ)
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 東芝エネルギーシステムズ(川崎市)は8月7日、IoTとAI技術を用いた地熱発電所の利用率向上に向けた研究を行うと発表した。8月から2020年度まで実施する予定で、発電所のトラブル発生率20%減、発電所の利用率10%向上を目指す。

 地熱発電は安定した出力が得られることからベースロード電源として活用できる。日本は世界第3位となる地熱資源ポテンシャルを持つことから、地熱発電に大きな期待が掛かっている。一方、太陽光発電など他の再エネの発電コストが下落しており、地熱発電についても効率的な発電所運営が求められている。

 具体的な研究テーマは、実際の地熱発電所における「ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断」と、利用率を下げる原因のひとつである「タービンスケール」の抑制対策。「スケール」とは、配管やブレードなどに付着・堆積する無機塩類で、システム効率低下の原因になる。

 今回の研究事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2018年度「地熱発電技術研究開発」の助成事業に採択された。

 「ビッグデータ解析技術を活用した予兆診断」では、過去やリアルタイムの運転データを分析・評価することで、運転停止を招くトラブルを事前に予知できるよう分析ツールを実装する。「タービンスケールの抑制対策」では、スケールを抑制する薬剤添加を含む効果的なスプレー散布を研究する。薬剤使用量やタイミングをIoT・AI技術を用いて最適化することでスケールの抑制を検証する。

 同社は、1966年に地熱発電向けの蒸気タービン・発電機を納入して以来、高い市場シェアを維持している。2017年12月時点の市場シェアは設備容量ベースで世界1位の23%を占めており、2018年8月時点での納入実績は57台・合計3687MWに達する。

 また、同社は2014年以降、アフリカ各国の地熱発電事業について包括的な協業に合意し、開発段階から参画している。2018年5月には、アフリカで5カ国目となるマラウイ共和国天然資源エネルギー環境庁との間で覚書を締結。地熱発電事業のノウハウを活用して、同国における主要機器の開発・供給、運転管理ガイドラインの作成、人材育成に協力する。将来的には1~10MW規模の小型地熱発電設備などの機器の供給を目指す。

 このほかにも、フランスの大手総合建設会社との間で、アフリカの水力・地熱発電の開発について、設計・エンジニアリング・製造・建設にわたる戦略的協力関係を構築することで合意した。さらに、ケニアの大手リース会社とも協業し、ケニアなどの地熱発電案件向けに小型発電設備の供給を目指す。

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