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山梨県、「太陽光+P2G」の成果公表、次は1.5MW級水電解装置で

2018/08/16 19:09
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ
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太陽光パネルからの変動性出力を活用する
(出所:日経BP)
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燃料電池とMHタンク、固体高分子型水素製造装置
(出所:日経BP)
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水電解装置用電源で太陽光からの出力を安定化
(出所:日経BP)
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 山梨県は7月30日に「P2G(Power to Gas)システム」の技術実証に関する成果報告会を実施し、実証施設を公開した。

 「P2Gシステム」とは、再生可能エネルギーの電力から水素を製造し、貯蔵・利用する仕組み。山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳は2016年11月、同システムの実証に関して協定を結び、甲府市の米倉山エリアに実証設備を建設・検証してきた。

 実証施設は、パナソニック製の出力35kWの太陽光パネル、日立造船製の固体高分子型水素発生装置(定格25kW)、日本製鋼所製のMH(水素吸蔵合金)タイプの水素タンク(最大52Nm3、定格40Nm3)、パナソニック製の純水素型燃料電池システム(定格5kW・3台)、ニチコン製の水電解装置用電源(定格25kW)などからなる。

 太陽光で発電した電気は、水電解装置用電源のDC/DCコンバータにより直流20Vで水素発生装置に供給し、1時間で平均5Nm3の水素を製造し、水素タンクに貯めておく。晴天時には1日に40Nm3の水素を製造できる設計。貯めた水素は燃料電池で電気に変換し、隣接する太陽光関連の見学施設(ゆめソーラー館やまなし)に供給される。

 太陽光パネルを電源に使ったP2Gシステムでは、天気によって変動する電気から、いかに安定的に水素を製造し、貯められるかが課題になる。今回の報告会では、これまでの実証で、水電解装置用電源の制御によって太陽光パネルの変動電源から2300A程度の電流で25kW級の出力を確認した(2018年7月20日実績)ことや、MHタンクの運用に関し、6Nm3/hの水素流量・7時間で41.3Nm3に達したとの報告があった。

 山梨県は、P2Gシステムを太陽光出力などの時間単位の長周期変動を平準化する蓄電技術と位置付け、燃料電池の排熱利用や燃料電池自動車などでの水素利用を考慮すると、蓄電池システムよりもトータルでのシステム効率が高く、コストも安くなると試算している。

 同県では、国の掲げるエネルギーミックス(2030年のあるべき電源構成)の水準は、山梨県内に住宅太陽光のほかに188MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)導入に相当するとしており、それによる長周期変動を緩和し、太陽光への出力抑制を回避するには、1.5MWの水電解装置42台が必要になると試算している。

 そこで、甲府市の米倉山エリアで、次の実証ステージとして、隣接する東京電力のメガソーラー(5MW)と連携し、1.5MW級の水電解装置によるP2Gシステムの実証に取り組む準備を進めている。

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