バージ型浮体式洋上風力発電システム実証機
(出所:NEDO)
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実証機の構成
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と丸紅などのコンソーシアムは8月10日、「バージ型」と呼ばれる小型浮体に風車を搭載した洋上風力発電設備が完成したと発表した。

 水深50m程度の浅い海域でも設置できるのが特徴。今後、北九州市沖の海域に向けて曳航し、今秋から実証運転を開始する予定。

 今回、建設した「バージ型浮体」は、縦横の1辺51m、高さ10mの平たい箱型の浮体構造物で、水中に浸かっている部分の深さが比較的、浅くても、安定的に大型風車を支えられるという。これに、定格出力3MWの2枚翼アップウィンド型風車を搭載した。

 この浮体を、スタッドレスチェーンと超高把駐力アンカーを組み合わせた計9本の係留システムで係留する。厳しい気象・海象条件でも安全性が確保されるよう設計したという。

 実証プロジェクトでは、参加した各社が役割を分担した。丸紅がコスト分析・関係機関との調整、日立造船が浮体設計・製作・設置工事、グローカルが風車の選定および係留システムの開発、エコ・パワーが環境影響評価、東京大学が同システムの性能評価およびコミュニケーション活動、九電みらいエナジーが系統連系協議および電力品質評価を担当した。

 実証運転では、計測データによる設計検証や遠隔操作型の無人潜水機を使用した浮体や係留システムの効率的な保守管理方法の技術開発を行い、低コストかつコンパクトな浮体式洋上風力発電システムの技術を確立する。実証運転の期間は2021年度までの予定。

 洋上風力発電の基礎構造は、海底に設置する「着床式」と海に浮かべる「浮体式」に大別される。NEDOの調査によると、日本近海では浮体式が着床式の約5倍の導入可能面積を持つ。しかし、世界的に商用化が進む浮体式のひとつである「スパー型」は100m程度の水深が必要となるため、水深50~100mの範囲で着床式に対してコスト競争力のある浮体式の開発が課題となっていた(関連記事:北九州沖・洋上風力の「浮体」完成、NEDOと日立造船)。