• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP
ニュース

集光型太陽電池と水電解で水素製造、18.8%の高効率で

2018/07/23 11:31
工藤宗介=技術ライター
印刷用ページ
宮崎大学に設置した実験装置
(出所:宮崎大学らの研究グループ)
クリックすると拡大した画像が開きます
日射量と水素製造量の1日の変化
(出所:宮崎大学らの研究グループ)
クリックすると拡大した画像が開きます

 宮崎大学、東京大学、富士通研究所、住友電気工業らの研究グループは、新型の高効率集光型太陽電池で発電した電力を用いて水電解する実用構成システムを構築し、太陽光エネルギーの18.8%(1日平均)を水素エネルギーに変換することに成功した。7月19日に発表した。

 太陽光発電などの再生可能エネルギーと水電解の組み合わせは、CO2を排出しない水素製造システムとして期待されている。これまで宮崎大学らの研究グループは、集光型太陽電池と一般的な固体高分子型水電解装置を接続したシステムで、屋外で太陽光から水素への変換効率24.4%を実証している。しかし、外気温や太陽光による温度変動、雲などによる太陽光強度の変動により、高い水素製造効率を1日中維持するのが難しかった。

 今回、新型の高効率集光型太陽電池と固体高分子膜を用いた水電解装置に、太陽電池から得た電力を水電解装置に効率よく供給する電力変換装置(DC/DCコンバーター)を接続し、実際の太陽光下で1日を通して高効率かつ安定的に水素を製造することに成功した。1日平均の変換効率18.8%は、実用構成システムにおいて世界最高記録という。

 電力変換装置は、富士通研究所が同システム向けに新たに開発した。時々刻々と変化する温度や太陽光強度に追従し、水電解装置に供給する電圧、電流を制御して、常に太陽電池の最大出力電圧になるように調整する。太陽電池から水電解装置へのエネルギー伝達効率90.0%を実現した。また、住友電気工業製の集光型太陽電池モジュールを高精度に太陽を追尾する架台に搭載することで、宮崎県の実際の屋外日照条件下で1日平均発電効率27.2%を達成した。

 今後、集光型太陽電池の実作動環境下での発電効率は35%まで向上すると見込まれ、太陽光から水素へのエネルギー変換効率は25%に達すると予測する。また、現在は高額な集光型太陽電池だが、直射日光の強い海外の高照度地域で導入が進めばシリコン太陽電池並みに低価格化する可能性もある。技術革新と水電解装置の低コスト化を組み合わせれば、経済産業省が目標とする水素製造コスト1Nm3あたり20円以下の実現も見込まれるという。

  • 記事ランキング