地産地消モデルの電力小売事業(図:矢野経済研究所のプレスリリースより)
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地産地消モデルの電力小売市場規模推移と予測(図:矢野経済研究所のプレスリリースより)
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 矢野経済研究所は2016年7月22日、2015年度の国内の地産地消モデルの電力小売事業の市場規模は、小売電気事業者の売上高ベースで135億円だったとの調査結果を発表した(ニュースリリース)。また、2016年度の同市場は、家庭用などの低圧分野(50kW未満)の電力小売が自由化されたことから240億円に増加する見込み。

 地産地消モデルの電力小売事業とは、特定地域の再生可能エネルギーによる発電電力(FIT電気を含む)を主体として、その地域の電力需要家や提携した組合員・施設などに供給(電力小売)する事業形態のこと。また、当該地域以外の提携した組合員・施設などに産地直送(電力小売)する場合も含む。

 同事業では、家庭用など低圧分野の電力需要家の方が、電気料金のメリットだけではなく、環境負荷が少ないことや地域活性化につながることなどのポリシーに賛同してもらうことで契約する形態が多くなる見通しだ。一方、高圧分野(50kW以上)の民間施設の場合は、価格メリットの訴求が契約獲得の条件になる。今後、電力需要家が増えていくとともに、国内のさまざまな地域で、同様の事業が新たに立ち上がっていくことが考えられ、2017年度の市場規模は340億円、2020年度は530億円まで拡大すると予測している。

 同事業に参入している小売電気事業者は現在40社を超える。業種別に分類すると、地方自治体系、生活協同組合(生協)系、デベロッパー/エンジニアリング系などがある。地方自治体系の事業者は、地方自治体が事業主体となり、地場の民間企業などと一体になって事業を展開している。自治体と民間企業が出資する第三セクターを設立するケースが多い。そのような自治体の多くは、もともと環境意識が高く、RPS(Renewables Portfolio Standard)制度やFIT制度とともに再生可能エネルギー発電システムを導入・誘致している。また、再生可能エネルギー導入による地方創生・再生、地域活性化に取り組んでいる。

 生協系の事業者は、消費生活協同組合法で各生協の組合員のみが事業の対象と規定されていることから、生協の事業施設および組合員にのみ電力供給を行う。生協は、安全・安心な食品にこだわる産地直送のスキームなどで事業展開してきており、電力に関しても再生可能エネルギーを選択して使用していく方針。従来から物流拠点や配送センターなどの施設に太陽光発電システムを導入してきており、2016年度の生協組合員向けの家庭用など低圧分野の電力小売の開始に向けて準備を進めている。

 デベロッパー/エンジニアリング系は、太陽光発電システム・廃棄物発電システム・バイオマス発電システム・風力発電システムなどのデベロッパー、エンジニアリング会社、コンサルティング会社が、それらの発電電力を調達して電力小売事業も行う。その際の事業の差別化ポイントとして地産地消モデルを導入しており、そのほとんどがFIT制度またはRPS制度に対応済。再生可能エネルギーの比率が高い電力を、従来の大手電力会社よりも安価な料金体系で供給することで顧客を獲得している。

 調査方法は、同社の専門研究員による直接面談、電話および電子メールによるヒアリング、文献調査を併用した。期間は2016年4~7月。