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Siインゴットの結晶欠陥を可視化、太陽電池の効率向上に期待

2018/06/27 20:14
工藤宗介=技術ライター
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ラベリング処理後のウエハー画像
(出所:名古屋大学、JST)
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インゴット再構成結果
(出所:名古屋大学、JST)
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シリコンインゴット中の結晶欠陥の3次元分布
(出所:名古屋大学、JST)
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 名古屋大学は6月26日、太陽電池用シリコン(Si)インゴット中にある結晶欠陥の3次元分布を可視化することに成功したと発表した。

 今回の成果が結晶欠陥の発生メカニズムを解明する手掛かりとなり、結晶欠陥の少ない高品質なシリコンインゴットの開発が加速すると期待される。

 太陽電池の主材料の1つである多結晶シリコンは、製造コストの低さがメリットとなるが、結晶欠陥の多いことが変換効率を向上する上で課題となっていた。結晶欠陥は、シリコンインゴットの製造時に発生するが、これまでシリコンインゴット内部の結晶欠陥の分布を調べる方法がなかった。

 今回、シリコンインゴットをスライスして作製した多数の実用サイズの多結晶シリコンウエハーに、レーザー光を照射して蛍光と反射光の混ざった画像を特殊なCCDカメラで撮影した。結晶欠陥を蛍光強度の低下として検出し、多結晶の複雑な組織構造を反射高強度の差として検出することを試みた。

 得られた画像に対してフーリエ変換および逆フーリエ変換、色温度の正規化、平準化およびアンシャープマスク処理などの情報処理技術を適用することで、ウエハー表面のスライス痕やノイズを除去して結晶欠陥領域を抽出した。さらに、大量の2次元画像を積層してインゴットのイメージを再構成し、結晶欠陥の3次元分布を可視化した。

 個々の結晶欠陥を追跡した結果、可視化されたほぼ全ての結晶欠陥は、シリコンインゴットの成長過程で内部に点として発生し、一旦拡大した後に消滅することが分かった。今後、民間企業との共同研究により、太陽電池用高品質シリコンインゴットの新規製造技術の開発を計画する。

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CRESTの研究課題「多結晶材料情報学による一般粒界物性理論の確立とスマートシリコンインゴットの創製」(研究期間2017年10月~2023年3月)の一環。研究成果は「Solar Energy Materials and Solar Cells」オンライン速報版で同日公開された。

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