ブラストによるガラス分離装置
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ブラスト技術を使ってカバーガラスを分離した使用済みパネル
(出所:日経BP)
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 太陽光発電事業の開発・運営を手掛けるエーシー(山形県米沢市)は、使用済み太陽光パネルのリサイクル(材料の再利用)事業を本格的に開始する。今年6月初旬に山形県米沢市竹井にリサイクル工場が完成し、1日約80枚を処理する体制が整った。

 同社は、真空製膜装置部品の洗浄再生を手掛けるミクロンメタル(米沢市)と共同で、太陽光パネルからカバーガラスを分離する技術を開発してきた。研磨剤を噴射するブラスト(吹き付け)手法が特徴で、独自開発した装置の中にパネルを格納し、カバーガラス表面に研磨剤を高圧で吹き付けることで、EVA(封止材)とガラスを完全に分離できる。今年5月、このガラス分離技術の特許が成立した。

 エーシーのリサイクル工場では、使用済みパネルから、まずアルミニウム製フレームと電極・端子ボックスを外す。分解した各部材は、それぞれの素材の専門リサイクル事業者に有価物として販売する。EVAからカバーガラスを分離する工程では、現在、研磨剤にアルミナを使っている。分離後のガラスとアルミナの混合物は、セメントの原料となる。

 使用済みパネルのリサイクル事業は、運搬コストを考慮すると、各地域に拠点を設置し、その周辺から排出された廃パネルを処理する仕組みが望ましい。そこで、エーシーでは、地域ごとにパートナー企業を募りつつ、リサイクル事業を全国展開する方針だ。

 すでに、使用済み太陽光パネルのリユース(再使用)・リサイクル事業の展開を目指しているアールツーソリューション(東京都中央区、以下R2S)と協業する準備を進めている。

 R2Sは、今年6月、太陽光関連業を展開するネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ヶ根市)、廃棄物処理・リサイクル事業を手掛ける市川環境エンジニアリング(千葉県市川市)のほか、リサイクルテック・ジャパン(名古屋市)、近畿工業(兵庫県三木市)の4社の出資で設立された。

 R2Sでは、破砕機を使ったガラス分離技術を開発しているが、フレーク状のガラスを完全に除去し切れない課題があり、エーシーのブラスト技術と組みわせることを検討している。一次破砕で分離したガラスを研磨剤に使い、ブラスト処理することで、アルミナを使わずにガラスを完全分離するシステムを目指している。これが実現すれば、分離後のガラスに混合物が入らないので、ガラスへの再利用が可能になり、有価で販売できる可能性が出てくる。ただ、この仕組みでは、ガラス分離工程の装置が大掛かりになり、設備費用が膨らむことが課題になる。

 現在、東北地方では使用済みパネル1枚の処理料金は4000~6000円と言われる。エーシーの大友裕一社長は、「今後、大量に使用済みパネルが排出され、処理事業者間の競争が活発化していくことを考えると、1枚当たりの処理費用を2000円以下に抑えてもリサイクル事業として成り立つことが必要」と見ている(関連記事)。