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京大、色素増感太陽電池で新材料、効率15%も視野に

2019/06/14 11:14
工藤宗介=技術ライター
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色素増感太陽電池の模式図
(出所:京都大学)
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ポルフィリンとポルフィリンからなる有機色素の例
(出所:京都大学)
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ドナー・アクセプター型ポルフィリン色素
(出所:京都大学)
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今回開発した縮環ポルフィリン色素と組み合わせた有機色素
(出所:京都大学)
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 京都大学は6月13日、現在世界最高のエネルギー変換効率を実現しているポルフィリン色素を上回る性能を示す、新規ポルフィリン色素を開発したと発表した。有機太陽電池の一種である色素増感型太陽電池の実用化に向けた大きな一歩になると期待される。

 色素増感型太陽電池は、有機色素を吸着させた半導体電極と金属電極で電解液を挟み込んだ構造を持つ。作製が簡便であると同時に高いエネルギー変換効率を達成できることから次世代太陽電池のひとつとして注目を集めている。高いエネルギー変換効率を実現するには、有機色素をどのように設計するかが重要となる。

 金属を用いない低コストの有機色素としては、血液(ヘモグロビン)や葉緑素(クロロフィル)など自然界にさまざまな形で存在するポルフィリン色素が研究をリードしている。ドナー・アクセプター構造を導入したSM315やGY50といったポルフィリン色素は太陽光を効率よく利用でき、2014年にはエネルギー変換効率13%を達成した。

 今回の研究では、縮環ポルフィリン色素に注目した。縮環ポルフィリン色素は、ポルフィリンとパイ共役分子の全体にパイ電子が広がることで高い光捕集能を持つが、外部回路への電子の取り出し・電子の回収をうまく行えないことから、太陽電池の分子設計指針には不向きと考えられていた。

 今回、ポルフィリンに直接パイ共役分子を縮環させるのではなく、炭素原子を挟み込んで縮環させたポルフィリン色素DfZnP-iPrを設計・合成した。この色素を用いた太陽電池はエネルギー変換効率10.1%を実現。さらに、LEG4という有機色素を組み合わせることで10.7%まで向上し、GY50を用いた太陽電池(10.0%)を上回る性能を示したという。

 これらの成果により、炭素原子を挟み込んでパイ共役分子を縮環させるという手法が新たな分子設計の指針なることを示した。今後、更なる色素の改良で15%の実現も視野に入れる。実験室レベルでの変換効率15%が実用化のひとつの目安とされており、色素増感型太陽電池の実用化に向けた一歩になると期待される。

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