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太陽エネルギーで南極点に挑戦、帝人がオランダの冒険家を支援

2018/06/14 07:05
金子憲治=日経BP総研 クリーンテックラボ、工藤宗介=技術ライター
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C2Aの環境配慮型ソーラーカー
(出所:帝人)
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太陽パネルの電気で走行するソーラーカー
(出所:Clean 2 Antarcticaのサイト)
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 帝人は6月13日、環境配慮型ソーラーカーで南極点到達を目指すプロジェクト「Clean 2 Antarctica(C2A)」の趣旨に賛同し、同プロジェクトを全面的に支援すると発表した。6月に迎える創立100周年記念プロジェクトの一環として取り組む。

 C2Aは、オランダの冒険家Edwin ter Velde(エドウィン・テル・ヴェルデ)氏と、学生や若手専門家たちが展開するプロジェクト。「変革に向けた冒険」をテーマに、使用済みPETボトルやプラスチックごみなどのリサイクル素材を使用した環境配慮型のソーラーカー「The Solar Voyager」で南極点への到達に挑戦する。

 The Solar Voyagerの駆動系の仕様について詳しい情報は公開されていないが、同プロジェクトのサイトに掲載している現時点での画像や動画を見ると、10枚の太陽光パネル(単結晶シリコン型・60セル/枚)を荷台にほぼ垂直に取り付け、その発電電力を充電池に貯め、その電気を使ってモーターで走行する電気自動車だと思われる。

 パネル1枚の出力を300W前後とすると、10枚合計で最高出力は3kW前後になると推察できる。公開画像をみると、パネルには、両面ガラスの両面発電型を採用している。太陽の南中高度が低く、垂直近くに立てることが多いことや、周囲が氷雪で散乱光が多く、裏面への入射が多いため、発電量を稼げる両面発電タイプを採用したと考えられる。

 C2Aメンバーは、8月27日に大型帆船でアムステルダム港を出航し、9月17日に最初の寄港地であるカナリア諸島・テネリフェ島に到着する。その間、課題として「将来、帝人が循環型社会を実現するリーダー企業となるための計画」を策定・提出する。

 その後、アルゼンチン南部のパタゴニアに向けて航海を続け、12月にはソーラーカーで南極大陸西部のユニオン・グレーシャー・キャンプを出発し南極点を目指す。往復2300kmを走破する予定。

 帝人は、ソーラーカーの車体や構造材向けの軽量・高強度素材や、タイヤの設計解析サポートなどを提供する。同社が提供した素材・製品は以下の通り。

 パラ系アラミド繊維「トワロン」は、鉄の6倍の強度と5分の1の軽さという特性を持つ。車体の床下に使用し、南極大陸の氷面から受ける衝撃に対する耐久性の向上と、車体の軽量化に貢献するという。

 パラ系アラミド繊維「テクノーラ」は、鉄の8倍の強度を持ち、耐衝撃性・耐疲労性・耐薬品性に優れる。車体の補強用、ソーラーパネルの角度などを調整するロープ用に使用した。

 高機能ポリエチレンテープ「Endumax(エンデュマックス)」は、鉄の11倍の強度を持ち、剛性・寸法安定性・耐久性に優れる。Endumaxを使用したロープをタイヤの周囲に巻き付けることで、寸法安定性・転がり抵抗・牽引力の向上を実現したという。

 炭素繊維「テナックス」は、高強度・高弾性が特徴。3Dプリントで成形されたPET製の車体をテナックスでラミネートすることで、車体の強度向上・軽量化を実現したとしている。

 ポリカーボネート樹脂「パンライト」は、軽量で寸法安定性に優れ、ガラスの200倍の耐衝撃性を持つという。パンライトに太陽光線を遮蔽するための加工を施した樹脂グレージングをソーラーカーの窓に使用した。

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