北海道大学、名古屋大学、東京理科大学らは6月4日、電力需要を柔軟化するデマンドレスポンス(DR=需要応答)の解析・制御技術を開発したと発表した。経済的価値を最大化するために、発電コストと電力使用量の調整に必要なコストの両方を考慮した。

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業における成果。

 これまでDRは需給バランスの維持が目的であり、経済的価値は重要視されていなかった。今後、再生可能エネルギーが普及すると、DRの費用対効果の変動はさらに大きくなると予想され、経済的価値を最大化することが求められる。

次世代の電力システムにおけるDRとアグリゲーターの位置付け
(出所:JST)
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 DRの調整コストと比較して、発電コストの1日あたりの変動が大きいほど経済的価値を生み出す。今回の研究では「発電コストの最高値と最安値の差が調整コストの2倍以上であれば、DRは経済的価値を生む」という条件を導出した。

発電コストの時間別単価の例
(日本卸電力取引所のデータを参考に作成)(出所:JST)
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 次に、経済的価値を最大化するために、数理モデルを用いて将来の振る舞いを予測し、現時刻の最適な制御方策を決定する「モデル予測制御」手法を用いて、発電コストと調整コストの両方を考慮したDRの制御技術を開発した。

 同手法では、発電コストと電力使用量の予測、過去の電力使用量の実績に基づき、現在の最適な電力使用量を求める。需要家に大きく負担を掛けない範囲で経済的価値を最大化する電力使用量を求められる。シミュレーションでは、日本卸電力取引所のデータを予測値として利用し、提案手法の有効性を示した。

 今回の研究成果は、次世代の電力システムにおけるDRの標準的な解析・制御技術になると期待される。DRの中継を担う事業者であるアグリゲーターが同手法を利用することで、再エネの利用促進が期待される。