埋もれる力をデザインコンペで発掘

 佐藤氏の前職は経営コンサルタント。現在も経営コンサルタントとして働いて資金を得つつ、TRINUSを運営している。起業のきっかけとなったのは、経営コンサルタントとしてアクセンチュアに勤務していた際、同社の社会貢献事業として障がい者向けの就労継続支援事業所で製造する製品デザインを募集するデザインコンペ「ART CRAFT DESIGN AWARD」だった。

 就労継続支援事業所で製造する製品の付加価値を高めるためのデザインを募集するというもので、受賞作品を実用化した製品は「equalto」(イクォルト)ブランドの製品として製造・販売された。equalto製品の一部はセレクトショップでも扱われるなど人気を博し、コンペのコンセプト“デザインの力で、障がい者のものづくりを応援したい。”が実現される様子を間近に見た。その後、転職したリンカーズは、大企業に向けて技術力をもつ中小企業パートナーを提案するマッチングサービスを提供する企業だ。そこで、埋もれた技術や埋もれたデザイナーを、デザインコンペを通じて活用できるのではないかと考え始めた。

 しかし、アナログなコンペにはお金がかかる。告知などの広報活動費に説明会や発表会の会場費、審査員への謝金、受賞者への賞金……と、1回の開催で1000万円を超えてしまう。そこで考えついたのが、デザインコンペをWeb上で行うシステムだ。あらかじめ登録会員を用意すれば、告知自体にはさほど費用はかからない。会場費は不要。コメント機能は説明会の質疑応答の役割を果たし、さらにQ&A集としても使える。

 TRINUSのシステムでは多額の賞金はないが、テーマに採用されればその登録デザイナーには5万円が支払われ、製品化された場合には売り上げロイヤリティー3%が支払われる。デザイナーの売り上げロイヤリティーとしては比較的高いレベルという。そのほか、採用案が生まれるのに貢献したと考えられるアイデアの投稿者にも、貢献度合いに応じて売り上げロイヤリティーの一部を支払う予定だ。独立したデザイナーは十分な収入を得られないケースも多く、こうしたデザイナーを支えることになると期待する。

 一方、加工技術などを持つメーカーのメリットは、製品化できた際、TRINUSから発注が入ること。付加価値の高いデザイン雑貨へと、自社技術の応用範囲が広がることになる。TRINUSのメリットは、製品を販売することで得られる売り上げだ。

 これまでに進めているプロジェクトは7つ。それぞれ並行して開発を進めており、順次実用化を狙っていく。