採用するアイデアは、バイヤーや、製造を受け持つ工場などの意見、投票システムによる評価結果を参考に佐藤氏が決定する。そこからは、協力デザイナーがブラッシュアップしていく。同製品では、投稿されたアイデアを基に、外部パートナーとブランディングを行い、「植物のためのジュエリー」というコンセプトを決めた。「“ジュエリー”であるなら…」と宝飾品デザインを手掛けるジュエリーデザイナー3人に協力を仰ぎ、さらにプロダクトデザイナーの協力を得つつ、製造を担当する工場も含め、作り方やコスト、強度を検討しながら製品デザインに落とし込んだ。

最終的に出来上がった植物のためのジュエリー、PLANT’S JEWELYは複数のモデルが出来上がった。例えば泡の形状を模した「Bubble」は、デザイン性を保ちながらもできる限り低価格にしようとした製品。板金の打ち抜き加工にタレットパンチプレスとレーザー加工を組み合わせることで実現した。花瓶やコップなどの縁に本体をひっかけ、穴に茎を通すことで花を留める。写真の製品(ゴールド)の販売予定価格は4500円(税込、送料別)、同シルバータイプは3800円(同)。
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腕輪をイメージした「Bangle」はタレットパンチプレスにロール曲げ加工を組み合わせたもの。皿の上に立てて花をいけることができる。
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指輪が連なったような「Ring」は、カットしたパイプを溶接したもの。溶接は手間がかかるため、パイプに切れ目を入れて広げるなど、別の製造方法も検討しているという。
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 こうして6~7種ほどの試作品を用意して、ジュエリーの展示販売会「New Jewelry 2015」(2015年12月、3331 Arts Chiyoda)の雑貨コーナーでテスト販売を行った。来場者には「花が少なくても、生け方がわからなくても、使えばさまになる」と好評で、種類を絞り込み、形状などを再度見直した。今回始めた「MAKUAKE」での受注生産によって初回生産を実現し、その在庫を一般販売に回す計画だ。

 オープンにアイデアを募ることによるメリットは、デザイナー同士のブラッシュアップだけではない。思わぬ用途アイデアが生まれるという利点もある。例えば「マグネシウム合金製のパイプ・棒を変形する技術」では、技術を持つメーカーが軽量杖やランプシェードなどを試作していたのに対して、「園芸用装飾」という案が高等専門学校生の女性から飛び出した。学校でマグネシウムが植物の肥料の役割を果たすという実験を行っており、アイデア投稿には実験結果も添えられていたという。このアイデアは「土に入れるPLANT’S JEWEL」としての製品化を予定している。