政府の長期戦略案では、「2050年までの温室効果ガス80%削減」に対し、果敢に取り組むとしたが・・・
(出所:環境省)
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 温暖化対策に積極的に取り組む企業などのネットワーク・気候変動イニシアティブ(JCI)は5月16日、政府の地球温暖化対策に関する長期戦略案「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」に対するメッセージ「日本の脱炭素リーダーシップを世界に示す長期戦略を」を発表した。

 同メッセージでは、脱炭素社会の実現にはエネルギー効率化を徹底して進め、再生可能エネルギーの利用を最大限に拡大することが最も重要とし、特に日本では再エネ目標の一層の引き上げが石炭火力など化石燃料への依存を大幅に減らす上で鍵となると指摘した。政府の長期電略案では、エネルギー基本計画で掲げた再エネ導入目標(22~24%)の数値は変更していない。

 また、JCIは、国内でも多くの企業や自治体が再エネ利用の拡大やゼロエミッションの実現に向けて、政府計画以上の取り組みを始めていることから、こうした国内の先駆的な取り組みを後押しし、日本の脱炭素リーダーシップを世界に示す長期戦略の策定を強く求めた。

 政府は、4月2日に公表された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会(パリ協定長期成長戦略懇談会)」の提言を踏まえ、パリ協定に基づく長期戦略案を取りまとめた。G20大阪サミットまでに決定する準備を進めており、5月16日までパブリックコメントを募集していた。

 懇談会提言では、2018年10月のIPCC「1.5℃特別報告書」で気温上昇を1.5度に抑えるには2050年のCO2排出量を実質ゼロとし、2030年には2010年比で約45%削減することが求められることを示した。その上で、最終到達点として「脱炭素社会」を設定し、それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現する目標を長期戦略に盛り込むよう求めた。

 長期戦略案では「2050年までに80%の削減に大胆に取り組む」とし、このビジョンの達成に向けて非連続なイノベーションを通じて「環境と成長の好循環」を実現するとした。方向性としては、再エネの主力電源化やCO2フリー水素の活用のほか、可能な地域・企業などから2050年を待たずにカーボンニュートラルの実現などを示した。重点的に取り組む施策としてイノベーションによる社会実装可能なコストの実現、グリーンファイナンスの推進、ビジネス主導での国際展開・国際協力などを掲げている。