再エネの成長トレンド、2018年に失速、IEA発表

気候変動の回避が困難になる可能性を指摘

2019/05/07 18:01
大場 淳一=日経BP総研 クリーンテックラボ

 国際エネルギー機関(IEA)は5月6日、2018年に世界全体で新規導入された再生可能エネルギーの設備容量が2017年とほぼ同等となり、これまで続いた再エネの成長トレンドが失速したと発表した。これにより、気候変動を回避するための長期的な目標の達成が困難になり得るとの懸念を表明した。IEAは、今回の再エネの成長鈍化が想定外だったとしている。

 IEAの最新データによると、2018年は再エネ発電設備の成長(新設容量)が2001年以来では初めて年次ベースで伸び悩んだという(図1)。

図1●世界全体における再エネ容量増設の推移
(出所:IEA)
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 IEAの持続可能開発シナリオ(SDS)によると、パリ合意の目標を達成するためには2018~2030年の間に毎年300GW以上の再エネ設備を増設する必要がある。

 太陽光、風力、水力、バイオマス、その他による再エネ由来の正味新設容量は、2018年に前年並みの約180GW増加した。この容量は、気候変動対策の長期的な目標を達成するために毎年必要となる設備容量の約60%(前年比7%増)でしかない。

 一方、電力・エネルギー関連の温室効果ガス排出量も1.7%増の33Gtと記録的な伸びを示したため、全体として排出量の抑制が不十分な結果となった(関連記事)。

 IEAのファティ・ビロル事務局長は、「再エネの拡大を休止させている余裕はない。世界各国の政府は、現状を正す対策に直ちに取り組む必要がある。コストが急速に下落したおかげで、過度な再エネ優遇策はもはや不要だ。必要なのは主に長期的なビジョンに基づく安定的な政策であり、費用対効果に優れた最適な方法で再エネを電力系統に取り込むことである」と述べている。

太陽光の新設は100GWに届かず

 2015年以降、世界全体で急成長した太陽光が、風力や水力の鈍い伸びを補ってきた形となっている。しかし、2018年に太陽光も失速、期待されていた節目の100GWに届かず97GWの導入で終わった(図2)。さらに、欧州連合(EU)やインドの風力が伸び悩んだこともあり、2018年の再エネ容量は前年並みに留まった。

図2●再エネ容量増設の電源ごとの内訳・推移
(2015~2018年、出所:IEA)
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 太陽光の導入で世界一の中国については、2018年の導入量が前年比9GW減の44GWとなった。堅調な米国に加えて、EU、メキシコ、中東・アフリカの増設が中国の需要減を補う形となった(図3)。

図3●再エネ容量増設の国・地域ごとの内訳・推移
(2015~2018年、出所:IEA)
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 再エネで世界第2位の市場であるEUでは、2018年の導入容量がわずかに減少した。太陽光は前年比で増加したが、風力が減少したためである。一方、同第3位の市場である米国では、太陽光は横這いだったが主に風力の増加が急速に進み、容量はわずかながら増加した。

 インドの陸上風力と日本の太陽光は、政策の移行や優遇策の変化などの影響で成長が鈍化したと指摘している。

 中東、北アフリカ、アジアの一部では、多くの新興国や発展途上国で、コストが急速に下落した風力と太陽光がけん引し、再エネ容量が増加したという(関連記事:2018年の世界太陽光市場、32カ国が1GW超に、IEA調査)。