日本製鋼所製の2MW級風力発電設備
(出所:日経BP)
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 日本製鋼所は4月24日に、風力発電機の製造および販売事業から撤退すると発表した。日本特有の厳しい気象環境に対応する技術開発が課題となり、2016年度から製造中止していた。同日開催された取締役会で決議した。

 今回、あらためて事業継続について検討した結果、将来的にも収益の確保が困難と判断した。既に新規の受注を取り止めているため、従業員や資産などに関する新たな取り扱いは発生せず、事業撤退に伴う業績への影響も軽微としている。

 同社は、2006年に風力発電機事業に参入して以来、これまでに国内で135基の風力発電機の納入実績がある。既設の風力発電機の保守・補修などのメンテナンス事業は今後も継続する。
 
 日本製鋼所は2014年10月、同社の製造した2MW機(「J82-2.0」)のリコールを発表し、2014年9月中間連結決算に部品交換に要する費用(約160億円)を特別損失に計上していた。リコールの対象となった風車は国内で108基だった。

 不具合の判明した部品は、ブレードの向きを変えるピッチ制御のためのベアリング(軸受け)で、運用状況によりひびの入る可能性があった。風車の稼働を止め、1基につき3本あるブレードを外して軸受けを交換した。

 国内の風力発電設備メーカーでは、三菱重工業が老舗だったものの、米企業との特許訴訟などから陸上設置の大型風車から事実上、撤退し、現在ではデンマークのヴェスタスとの合弁で、洋上風力発電設備に特化している。

 また、日立製作所は、富士重工の風車部門を買収し、国内大型風力発電設備市場に参入したが、今年1月に自社での開発・製造から撤退し、グループ企業が販売していた独エネルコン製の風力発電設備を日立グループ全体で扱うと発表していた。

 今回の日本製鋼所の撤退により、国内の陸上設置の大型風力発電設備は、出力300kW機を開発・製造する駒井ハルテックだけとなった。陸上設置のMW級の風車では、国内メーカーがなくなったことになる(関連記事:「風車メーカーはものづくりの基本に戻れ」、名古屋産業大学・清水幸丸教授)。