燃料電池大型商用トラック
(出所:トヨタ自動車)
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 トヨタ自動車の北米現地子会社Toyota Motor North America(TMNA)は4月22日、貨物輸送のゼロ・エミッション化を目指すプロジェクトのお披露目イベントにおいて、米トラックメーカーのKenworthと共同開発した燃料電池(FC)大型商用トラックを公開した。今秋から、FC大型商用トラックを使用した貨物輸送オペレーションを開始する予定。

 トヨタは、環境性能および利便性や汎用性の高さから、燃料電池技術を将来の有力なパワートレインと位置付けており、商用車も含めた開発・実証を進めている。米カリフォルニア州では、燃料電池大型商用トラックを試作し、2017年からロサンゼルス港湾地域で技術展開の可能性検証を進めてきた。

 今回のプロジェクト「ZANZEFF:Zero-and Near Zero-Emission Freight Facilities Project」は、貨物輸送トラックによる大気汚染問題が深刻なロサンゼルス港やロングビーチ港において、貨物輸送のゼロ・エミッション化を目指してロサンゼルス市港湾局が進めている。トヨタは、Kenworthやエネルギー企業の蘭Royal Dutch Shellらとともに参画した。

 燃料電池大型商用トラックは、トヨタが行ってきた1万4000マイル以上の走行実証で得られた知見をもとに、Kenworthのトラック「T680」をベースに、トヨタ「ミライ」の燃料電池システムを応用したパワートレインを搭載した。航続可能距離は、平均的な1日の運送距離の2倍となる300マイル(約480km)。

 ロサンゼルス港を拠点に、近隣のインランド・エンパイア地域やウィーニーミー港周辺、北部のメルセド郡などのエリアで貨物輸送を行う予定。今秋から1台目のオペレーションを開始し、順次、10台まで拡充する。運行については、トヨタの物流事業会社Toyota Logistics Servicesのほか、一般の貨物運送会社(United Parcel Services、Total Transportation Services、Southern Counties Express)も参画する。

 また、Shellは、ロサンゼルス市ウィルミントン地区と内陸部のオンタリオ市に大型水素ステーション2基を新たに建設する。バイオマスから水素を作る「Tri-Genステーション」を含むトヨタ施設内の3つのステーションとともに、合計5基の水素充填ネットワークを使用する。このほかにもウィーニーミー港にゼロ・エミッションのトラクター2台を新たに導入し、トヨタの港湾倉庫で使用するフォークリフトのゼロ・エミッション化も拡充する。

 Tri-Genでは、家畜排せつ物や汚泥などの廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、「溶融炭酸塩型燃料電池」を用いて発電することで、排出される水も含め、再生可能エネルギーから水素・電気・水を生み出す。2018年より建設し、2020年頃の稼働を予定している。

 これらの取り組みを段階的に進めることで、最終的には温室効果ガスを500t以上、窒素酸化物やPM10などの有害物質を0.72t削減することを目指す。なお、カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)から全体費用(約8300万米ドル)の約半分となる4100万ドルの助成を受けた。