ICTで「かかりつけ医」を強化、福岡市で実証開始

遠隔診療への2018年度診療報酬改定での評価も視野に

2017/04/25 19:00
小谷 卓也=日経デジタルヘルス

 「かかりつけ医」の機能をICTで補完する――。

 福岡市と福岡市医師会、医療法人社団鉄祐会、インテグリティ・ヘルスケアは2017年4月25日、福岡市で記者会見を開催し、「ICTを活用した『かかりつけ医』機能強化事業」の実証を開始したことを発表した。

記者会見の様子。左から福岡市医師会 常任理事の松本朗氏、福岡市 保健福祉局 政策推進部長の中村卓也氏、医療法人社団鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏
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 これは、福岡市が2017年3月に策定した「福岡市健康先進都市戦略」における柱の一つ「デジタル時代の医療サービスが実現されるまち」の一環として実施する事業。同市医師会も全面協力しており、「新たな診療の形態を探る試みだ」(福岡市医師会 常任理事の松本朗氏)と期待を寄せる。まずは同市内の20弱の医療機関において実証が始まった。

今回の実証で使うシステムの例
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 実証実験では、インテグリティ・ヘルスケアが開発したシステムを活用し、「オンラインモニタリング」「オンライン問診」「オンライン診察」の3つにより医師と患者をつなぐ取り組みを実施する。例えば、実証に参加する医療機関に来院した患者は、受付スタッフからタブレット端末を受け取り、専用のガイドに従い問診を入力。この結果(症状)を医師は診察室で事前に確認できる。これを繰り返すことで、患者の時系列の症状変化などがシステム上に記録され、医師もそれを参照することができる。

 「短い診察時間の中で医師は患者の状態を正確に聞き取ることができていない現状がある。同時に、患者もここ最近の症状を正確に医師に伝えることが難しいという実態もある。ICTを活用することでこの課題を解消し、予防・治療に向き合う関係を構築できる」(医療法人社団鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏)。

 今回のシステムでは、こうした対面診察の上で、症状や内容によってはビデオチャットで医師と患者宅をつないで診察する、いわゆるオンライン診察の機能も備える。「日常の患者の情報・状態を共有した上で患者とオンラインで話せば、診察の質は落ちない」(武藤氏)。経過観察の部分をオンラインで補完することで、トータルの診察の質を高める考えだ。

 安倍晋三首相は、2017年4月14日の第7回未来投資会議において「対面診療とオンラインでの遠隔診療を組み合わせた新しい医療を次の診療報酬改定でしっかり評価する」と表明。2018年度診療報酬改定で遠隔診療に対して何らかの評価が検討される方向にある(関連記事)。今回の実証も、この大きな流れを意識したものとなる。「2018年度診療報酬改定の動きを意識しつつ、できるだけ短期間で今回の取り組みのエビデンスを出していきたい」(武藤氏)。

 今回の発表の詳細は、追って日経デジタルヘルスでお伝えする予定である。

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