「自営線マイクログリッド」で再エネ供給

 加えて、事業的に注目されるのは、自営線の敷設に既存の管路を活用することだ。これまで一般送配電から独立して自営線マイクログリッドを構築しても、新たに送電線を敷設するコストが高く、事業的に合わないとされてきた。こうした事業性評価では、電柱や地下管路を新設して自営線を敷設することが前提になっていた。国内では、宮城県東松島市で、補助金を活用し、電柱新設による自営線マイクログリッドを構築した例がある(関連記事)。

 電気や通信のケーブルを支えるインフラを握っている両社が組めば、既存の電柱や管路に自営線を敷設することも容易になる。そうなると、ケーブルの敷設コストが劇的に下がる可能性が高く、自営線マイクログリッドの事業性が飛躍的に向上する。
 
 今回の両社の提携では、「地域直流グリッド」を、一般送配電網が停電した緊急時のBCP対策として位置付けているが、平常時でも自営線による電力供給で事業性が確保できる可能性が出てくる。

 NTTグループでは4月16日、NTTファシリティーズが固定価格買取制度(FIT)を活用しない「再エネ供給サービス」を始めると公表した。このサービスでは、同一敷地内の再エネを自家消費するか、離れた再エネ電力を一般送配電網で託送することが前提になっている。

 これに将来、「地域直流グリッド」が加われば、太陽光の電力を自営線で需要家に供給するという3つ目の選択肢が可能になる。BCPと環境価値に加え、自営線のコストが下がれば、託送料不要による投資回収が早まる上、電気ビルの蓄電池を組み合わせれば、ある程度、需要に合わせた再エネ電力の供給も可能になる。

 「RE100」など、再エネ利用を経営課題に掲げる企業が増える中、グリーン電力証書など環境価値取引によらない、再エネ調達手段として需要が見込める。

 ただ、東電とNTTグループが連携してこうした自営線による「再エネ・直送」サービスを始めた場合、既存の管路や電柱の利用に関して、外部企業に対する競争上のイコールフッティングをいかに確保するか、という課題が顕在化しそうだ。

宮城県東松島市で稼働中の自営線マイクログリッド
(出所:日経BP)
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