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再エネ電源から無線で給電サービスも、新電力と京大が共同研究

2019/04/11 17:57
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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さまざまな場所から走行中に充電
(出所:みんな電力)
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充電元を変えながら走り、電力の混信も防ぐ
(出所:みんな電力)
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多対多の電力の無線送信を符号で支える
(出所:みんな電力)
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 みんな電力(東京都世田谷区)は、無線で電力を送受信するサービスの実現に取り組む。

 こうしたサービスには、多重の送受信に正確に対応でき、かつ、十分なセキュリティの確保が必須になる。この技術コンセプトの検証に向けた研究開発を開始した。京都大学と共同で取り組む。すでに、関連する特許を共同で出願した。

 携帯電話による通信では、携帯端末が移動しても、接続する基地局を切り替えながら通信しつづけられる。こうした移動体が接続先を切り替えていく技術は、無線による電力の送受信でも、中核技術の一つとなる可能性があるとしている。

 例えば、電力の送受信者が携帯機器、電気自動車(EV)、ドローン(無人小型飛行体)など移動するものの場合でも、移動中に電力の送信先や受信元を変えながら、適切に給電を実現できるようになる。

 固定価格買取制度(FIT)による買取期間が終了した太陽光発電所は、自家消費や地域新電力などへの売電が想定されている。加えて、今回の技術が実用化されれば、近くを通過するEVやドローン、携帯機器にも電力を供給でき、新たな売電先が加わる可能性がある。

 EVやドローンにとっても、国内の各地に点在している太陽光発電所を充電所として活用できれば、走行や飛行の距離や時間の制約を超えた利用が可能となる。分散型電源が、こうした移動型電動機器の広範な普及に貢献できる。

 みんな電力と共同研究に取り組むのは、京大の大学院 情報学研究科の梅野健教授である。梅野教授は、多ユーザー間の多重送受信とセキュリティに関連する「カオスCDMA」と呼ばれる技術に取り組んでいる。

 同教授の技術を基に、多対多の間で無線によって送受信される電力に符号を乗せる。この符号には、暗号だけでなく 給電元、給電先、給電量、電力の由来、取引価格、電力選択の優先順位付けなどの取引情報を付加する。これによって、無線による給電の取引や決済まで可能となる。

 電力に付加した暗号は、指定された給電元だけが復号できるようにすることで、空中を飛び交う多数の電力による「混信」や、セキュリティの問題を回避できるという。暗号によって、電力の由来を個別に識別することができる。

 この技術コンセプトを、みんな電力や梅野教授は、「電力5G」と称している。

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