LCZ法で製造した単結晶シリコン(写真:東北大学のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]
単結晶シリコンが製造される様子(写真:東北大学のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]
LCZ法で製造した単結晶シリコンと、従来の製造法の単結晶シリコンとの比較(図:東北大学のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]

 東北大学、FTB研究所、産業技術総合研究所(産総研)は2016年3月23日、高品質単結晶シリコンの低コスト製造技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。新規投資をほとんど必要とせずに従来以上の高品質シリコンを製造可能で、高効率太陽電池を低コストで製造できるようになる。

 単結晶シリコンの製造方法は、石英ガラス製の円形るつぼで原料シリコンを溶かし、その融液を上方に引き上げることで結晶化させる「CZ法」が知られている。一方、シリコン融液の温度は約1400度で、るつぼの中で熱対流を起こし石英るつぼ壁を溶解するため、製造されたシリコン結晶には酸素や重金属といった不純物が含まれる。

 高品質な単結晶シリコンを製造法として、シリコン融液が液体金属であることに着目し、るつぼの外部から磁場を作用させて対流を抑える「MCZ法」が最もよく知られている。しかし、MCZ法は、超伝導磁石の設備が必要なため、コストダウンを強く求められる太陽電池用途には不向きだった。

 今回開発した「LCZ法」は、るつぼ内壁の表層(溌液層)に特殊な処理を行って融液をはじく性質を持たせたものを使う。磁場を用いず、通常のCZ法でるつぼの溶解を抑えることができるため、より安価で高品質な単結晶シリコンを製造できる。LCZ法を用いて実用サイズの直径200mmの単結晶シリコンの製造に成功した。

 単結晶シリコンの品質は、ライフタイムと呼ばれる物理量で定量的に測定できる。このライフタイムを測定した結果、LCZ法で製造した単結晶シリコンがMCZ結晶と同等、あるいはそれ以上の品質であることを確認した。また、LCZシリコンからシリコン基板を作成して標準型太陽電池を試作したところ、従来の結晶シリコン(CZ法で製造した単結晶シリコン)を用いた太陽電池と比べて変換効率が最大1.03倍向上した。

 今後は、需要に応じて溌液るつぼの製造設備を拡充し、るつぼの低コスト化を図る。また、溌液るつぼや結晶成長技術を改良してより高品質な結晶シリコンの量産化に対応した製造技術の開発に取り組み、2020年の発電コスト目標14円/kWhの達成に寄与するとしている。