講演中の様子
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 サウジアラビアのエネルギー会社であるACWA Power International社のパディ・パドマナサン(Paddy Padmanathan)社長 兼 CEO(最高経営責任者)は3月8日、自然エネルギー財団が開催したシンポジウム「REvision2017」において講演し、同社やサウジアラビアにおける再生可能エネルギーに対する取り組みを紹介した。

 サウジアラビアは、原油生産の中心的な存在であり、重油(HFO)やガスによる火力発電には補助制度がある。それでも、再エネ発電の方が低コストになりつつあり、導入を加速させているという。

サウジアラビアにおける夏と冬の電力需要
(出所:ACWA Power International社)
[画像のクリックで拡大表示]

 まず、サウジアラビアにおける電力需要の傾向が、再エネ発電の活用に向くことを紹介した。夏と冬で需要の傾向が違うものの、いずれの季節でも再エネの発電量が増す時間帯に需要が集中している。

 この需要ロードと再エネ発電の出力変動が比較的、一致するために、ベースロード電源以外は、日中の数時間程度、発電できれば十分としている。

 現在の再エネの発電コストであっても、火力発電を置き換える余地が出てきた。太陽光、風力発電、集光型太陽熱発電(CSP)、廃棄物発電(WTE)などを活用する。

 パドマナサン社長によると、LCOE(levelized cost of electricity:均等化発電原価)と設備利用率(capacity factor)の関係や、それぞれの再エネ電源の発電規模などを考慮すると、補助制度による利点を加味した状態の石油やガスによる火力発電よりも、太陽光・風力・CSP・廃棄物発電がそれぞれ勝る領域が出てきている。

 例えば、ガス火力では、補助分を加味しても設備利用率が20~25%時で、LCOEが7~10米セント/kWhとなっている。

再エネ発電電力のコストと設備利用率
(出所:ACWA Power International社)
[画像のクリックで拡大表示]
重油・ガス火力発電と再エネ発電のコストと設備利用率の比較
(出所:ACWA Power International社)
[画像のクリックで拡大表示]
 これに対して、サウジアラビアにおける再エネ電源のLCOEと設備利用率をみると、太陽光発電は設備利用率が30%の場合、4米セント/kWh以下、風力発電は同30%で5.5米セント/kWh~60%で3.0米セント/kWhなどとなっている。CSPは設備利用率50~70%で14米セント/kWhである。

 廃棄物発電は、ベースロード電源を代替でき、12米セント/kWhとなっている。

 この状況から、日中の電力需要の増加分をガス火力で賄うよりも、太陽光発電の4米セント/kWh、陸上風力発電の3米セント/kWhの方が利点があるとしている。

現時点のコストで理想的な時間別出力構成比
(出所:ACWA Power International社)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした状況を総合すると、現在の各電源のコスト状況でも、理想的な電源構成比(エネルギーミックス)は、再エネを多く活用したものになるという。

 現在、生じているバックグラウンドノイズ、例えば、出力変動などのリスクについては、今後、解消される手法が登場することを予想し、このコストの議論には反映していないとする。