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温水利用権者が初期投資なしで「バイナリー発電」、FITで売電

2019/03/12 12:30
工藤宗介=技術ライター
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 エネルギーベンチャーのEnergy Creation(東京都港区)は3月6日、地域または地域企業が初期投資なしに「温水バイナリー発電」を導入できるスキームを発表した。

 バイナリー発電とは、100℃未満の地下温水や温泉などの熱(温水)を利用し、沸点の低い媒体を蒸発させてタービン発電機を作動させる仕組み。地熱発電の1つとして、固定価格買取制度(FIT)を使って売電できる。買取価格は2020年度まで40円/kWhとなっている。

 今回のスキームは、全国の温水の使用権利を有する自治体、事業者及び個人を対象に権利者が主体となる小規模のバイナリー発電所の開発を想定している。

 サービス名は「地域が主役 温水バイナリー発電」。Energy Creationが投資資金を調達して発電所の設置・運営を行うため、地域事業者は自己資金を投資する必要がなく発電所の運営ノウハウがなくても事業を開始できるという。

Energy Creationによる事業スキーム
(出所:Energy Creation)
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 設置する温水バイナリー発電設備の発電量は、90度程度の温水の場合で発電端が65kW、送電端が49kWになる見込み。系統連系が容易な低圧接続50kW未満の温水バイナリー発電設備を1エリアに複数台設置し、固定費を平準化することで収益性を担保する。

 売電収入は地域事業者に入金される。地域事業者は設備使用料およびO&M(運営・保守)費用を同社に支払う仕組み。リースとは異なり温水枯渇や天災などの事業リスクはEnergy Creationが負担するため、地域事業者はメンテナンス費用などに影響を受けず安定的な収入を確保できるとしている。

 同社の試算によると、地域事業者は平均3~4円/kWh程度の収益を確保できる(設置状況などにより異なる)。設備稼働率を90%を前提に3円/kWhとした場合の年間収益は115万8000円、4円/kWhの場合は154万5000円になる見通し。

 温水バイナリー発電は、気候に左右されず安定的に発電でき、FITにより15年間固定価格で売電できるため長期的な収益を確保できる。発電設備は当初、海外製2社3製品を採用する。今後は他社製品も比較検討し、設置場所の環境に合わせて適切な設備を検討していく予定という。

 九州エリアを中心に2019年内に10台を目標に導入する計画。その後は、東北・北海道への展開を視野に入れている。

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